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薬の「こまった!」解決帳 使うとき編 Vol.1

薬は水かぬるま湯でのみましょうとは言うけれど……みなさんが薬をのむときの飲み物は?
103人の中学2年生を対象に行ったアンケート調査では、ほとんどの人が水かぬるま湯で薬をのむと答えています(グラフ)。でも、お茶(緑茶、麦茶、ウーロン茶など)でのむことがある人も3~4割いるようです。外出先などでペットボトルのお茶しかなかったら、薬はお茶でのんでも問題ないのでしょうか。

薬をのみときの飲み物は?(複数回答可)

出典:YAKUGAKU ZASSHI 
132(2):215-24, 2012より改変

薬の効果への影響や副作用が心配なお茶の成分

お茶の影響が心配な薬剤として、貧血の治療に使われる鉄剤が挙げられることがあります。お茶に含まれる渋み成分の「タンニン(カテキン)」が鉄にくっついてしまい、吸収されにくくなるからというのがその理由です。しかし、タンニンの薬の効果への影響を調べた研究報告などをもとに、※1※2 近年ではそれほど気にする必要はないと考えられるようになりました。

むしろお茶に含まれる「カフェイン」の影響を気にしたほうがよさそうです。カフェインは目覚まし効果のある成分で、眠気を除去する薬の成分にもなっています。カフェインと一緒にのむと薬の効果が弱くなったり強くなりすぎたり、副作用が出やすくなったりする薬があります。

カフェインの影響が心配な薬剤の例

参考:くすりの適正使用協議会「くすりの使い方」「日経メディカル処方薬事典」より改変

主な飲料に含まれるタンニンとカフェインの量を表にまとめました。苦みが強く感じられる濃い緑茶やコーヒーには、タンニンもカフェインも多く含まれるようです。ペットボトルのお茶(緑茶)に含まれる量は商品によってさまざまですが、味が濃いタイプのものは避けたほうがよいかもしれません。念のため、のんでいる薬がペットボトルのお茶でのんでも問題ないかどうか薬剤師に確認しておきましょう。

飲料に含まれるタンニンとカフェインの量(mg/dL)

出典:ペットボトルの緑茶は京都光華女子大学京都光華女子大学短期大学部研究紀要 55:67-72, 2017、その他は日本食品標準成分表2015年版(七訂)より改変

ミネラルウォーターはOK?

カルシウムやマグネシウムなどのミネラルは薬の吸収を妨げることがありますが、ミネラルウォーターで薬をのんでも問題ないのでしょうか。水は、含まれるミネラル量を示す「硬度」が比較的高い「硬水」と比較的低い「軟水」に分類されます。水の硬度は、カルシウムとマグネシウムが水1リットルあたり何mg含まれているのかを示す指標で、世界保健機関(WHO)の分類では、硬度120㎎/L以上が「硬水」、120㎎/L未満が「軟水」です。

軟水に含まれるミネラル量なら薬への影響を心配する必要はないようです。ミネラルウォーターの硬度を調べた報告によると、国産31製品の硬度は4~105 mg/L で、ほとんどが軟水でした。一方、海外製のミネラルウォーターは硬水が多く、輸入12製品の硬度は38~1,468 mg/Lだったとのこと。※3ミネラルの影響を受けやすい一部の抗菌薬や骨粗しょう症の薬をのむときに硬水を使うのは避けたほうがいいとされます。なお、日本の水道水は一般的に軟水です。海外ではアメリカやカナダ、ヨーロッパの国々などに水道水が硬水の地域が多くあります。

その他の飲み物の影響は?

冒頭の調査では、ジュースやスポーツドリンクで薬をのんだことがある人が1割前後いました。どちらもなじみ深い飲料ですから、これで薬がのめたらいいなと思うかもしれませんね。しかし、抗菌薬の中には、ジュースやスポーツドリンクのような酸味のある飲み物でのむと苦みを強く感じてしまうものがあります。

ジュースでのんではいけない薬はほかにもあります。ジュースの成分によって腸での薬の運搬が妨げられてしまう薬、肝臓での薬の分解が遅くなり効果が強く出すぎてしまう薬……などです。

このほかみなさんがよく飲む飲み物として牛乳が挙げられますが、牛乳は硬水のミネラルウォーターと同様、含まれるミネラルが薬の吸収を妨げたり、逆に含まれる脂肪分の影響で薬の吸収がよくなりすぎたりする場合も。また、腸で溶けるように加工された薬を牛乳でのむと薬が胃で溶け、薬の効果が弱まるばかりか胃を荒らしてしまいます。

薬をのみやすくするためにジュースや牛乳でのむことを勧められる場合もありますが、それはあくまでも薬剤師の指示のもとで行うべきこと。やはり基本に忠実に、薬は水かぬるま湯でのむのが一番です。

飲料や食品が薬の吸収や作用に及ぼす影響について、詳しくは、くすりのいろは 薬の「のみ合わせ」Vol.1 胃や腸で起きることVol.2 肝臓、そして全身で起きること なども参考にしてください。

今回の「こまった!」 解決メモ

薬は水かぬるま湯でのむのが基本なので、
ほかの飲み物でのんでもいいか薬剤師に相談を。

※1 日本産科婦人科學會雜誌 41(6):688-94, 1989
※2 日本栄養・食糧学会誌 54(2):81-7, 2001
※3 食品安全委員会:清涼飲料水評価書 カルシウム・
マグネシウム等(硬度):2017年4月

- コラム -

薬をのみやすくするお助けグッズ

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お助けグッズ

薬が苦くてのめない、粉薬をのむとむせてしまう、錠剤やカプセルがうまくのみ込めない……そんな悩みをかかえる人のために、薬をのみやすくする服薬補助食品があります。

昔から利用されているのは、でんぷんでできた食べられるフィルム「オブラート」です。水に溶けやすく、安全な食品です。丸型や角型のシート状や袋状になった服薬用のオブラートがあります。ほとんどの薬に使えますが、味やにおいの刺激で胃の働きをよくする「苦味健胃薬」には使わない方がいいとされます。

この20年ほどの間に広く使われるようになったのは服薬補助ゼリーです。錠剤やカプセルをゼリーに混ぜてのむことで、ツルっとのみ込めるようになります。苦い粉薬や漢方薬をのみやすい味に整えてくれるゼリーもあります。ゼリーでいいならお菓子のゼリーでもいいのでは?と思うかもしれませんが、服薬補助ゼリーは薬が楽にのみ込める硬さに調整してあり、また当然ながら薬の吸収や作用に影響しないように作られています。お菓子のゼリーには薬と一緒にとってはいけない成分が含まれている可能性もあるので、薬をのむときには使わないようにしましょう。

監修:加藤哲太(日本くすり教育研究所代表)