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薬の「こまった!」解決帳 選ぶとき編 Vol.1薬の「こまった!」解決帳 選ぶとき編 Vol.1

お腹が痛い、頭が痛い、歯が痛い。そんな経験、誰にでもあるはず。でも、痛みの原因は一様ではなく、頭が痛くなったときにのんだ薬をお腹が痛いときにのんだら、かえって症状が悪くなることだってあるから注意が必要です。

プロスタグランジンって何?風邪をひいて熱が出たり、頭が痛くなったりしたときにのむ痛み止めの薬「解熱(げねつ)鎮痛薬」は、発熱や多くの痛みを引き起こすきっかけとなる「プロスタグランジン」という体内物質を増やさないようにして、熱や痛みの症状をやわらげます。

プロスタグランジンって何?

プロスタグランジンと発熱・痛みの関係プロスタグランジンと発熱・痛みの関係

「痛み物質」とも呼ばれるプロスタグランジン、どのようなときに出てくるのでしょうか。
中学生のみなさんが経験することの多い症状との関係を整理しました。

プロスタグランジンが出るのはこんなとき

発熱
ウイルスや細菌などの病原体に感染して細胞が傷ついた。
頭痛
ストレスや疲れ、ずっと同じ姿勢をとり続けることで頭の周りや首の筋肉が緊張状態に。
歯痛
虫歯や歯が欠けたり抜けたりして、歯や歯茎などが傷ついた。
月経痛 (生理痛)
月経血を体外へと出すために子宮の筋肉が収縮している。

プロスタグランジンが出ると熱によるだるさや痛みの症状が出ていやだな、と思うかもしれませんが、発熱は熱に弱いウイルスや細菌をやっつけるための防御反応であり、痛みは「何とかしないと、もっとひどくなるよ」という体が発する“警報”でもあります。また、プロスタグランジンは生理を起こすのに必要な物質でもあるので、生理があるべき女性の体内で、適切な時期にきちんと出てくれなくては困ります。

プロスタグランジンのもう1つの働きプロスタグランジンのもう1つの働き

プロスタグランジンには、「胃の表面を覆う粘膜の血流をよくする、傷ついた細胞を修復する」といった胃粘膜の保護作用もあります。毎日胃が正常に働くために、大切な働きをしています。

プロスタグランジンの主な作用

プロスタグランジンの主な作用 プロスタグランジンの主な作用 プロスタグランジンの主な作用

子どもには子ども用の解熱鎮痛薬子どもには子ども用の解熱鎮痛薬

多くの解熱鎮痛薬にはプロスタグランジンをできにくくする「アスピリン」「イブプロフェン」などの成分が含まれます。そのほか、プロスタグランジンをできにくくするのではなく、脳が痛みを感じにくくする「アセトアミノフェン」という成分が含まれたものもあります。

「アスピリン」「イブプロフェン」などの成分が含まれた薬は15歳未満の子どもがのむと重い副作用が出る場合があります。そのため、子ども用の解熱鎮痛薬には「アセトアミノフェン」という成分が使われることが多いようです。

原因によって選ぶべき薬は変わる原因によって選ぶべき薬は変わる

お腹が痛くなった原因が、食べ物を消化させる胃酸の出すぎによって胃の粘膜が傷ついてしまった「胃痛」だったら?アスピリンやイブプロフェンが入った解熱鎮痛薬をのむと、プロスタグランジンが減ってお腹がさらに痛くなるかもしれません。

アセトアミノフェンにはプロスタグランジンを減らす作用はないので、「お腹が痛いときにのんだら、さらにお腹が痛くなった」なんてことはなさそうですが、胃痛からくるお腹の痛みを解決してくれるわけではありません。

胃痛を治すには、胃粘膜を傷つけてしまう胃酸を出にくくする成分、胃酸の出すぎで酸性になった胃の中を中和する成分、傷ついた粘膜を修復する成分などが入った薬が必要です。でも「お腹が痛い」のが胃痛ではなく生理痛だったら、選ぶべきなのはやはり解熱鎮痛薬なのです。

薬剤師に症状を詳しく話そう薬剤師に症状を詳しく話そう

人間には本来、病気やケガを自分で治す力、「自然治癒力(しぜんちゆりょく)」が備わっているので、安静にしていれば治る痛みもあります。痛くなったらすぐ薬をのんだほうがいいとも言えませんが、痛くて学校に行けないときや、食事ができないときなどは、我慢せずに薬を使いましょう。

しかし、薬選びは簡単ではありません。どの薬をのむべきか、まずは薬局やドラッグストアの薬剤師に相談しましょう。そのとき、どのような症状がいつから続くのか、どこがどう痛いのか、薬でアレルギーが出たことがあるか……など詳しく伝えることが大切です。また、薬をのんでも症状がおさまらなければ、病院での治療が必要な病気が潜んでいるかもしれませんから、かかりつけ医に相談を。なお歯痛の場合は、痛みがおさまっても虫歯などが治るわけではないので早めに歯科医院を受診してください。

今回の「こまった!」 解決メモ

痛みの原因や年齢によって、
選ぶべき薬は違ってくる。
自己判断せず薬剤師に相談を。

- コラム -

対症療法、原因療法と自然治癒力

薬をのんで痛みをやわらげるような、症状を軽くする治療法を「対症療法」と呼びます。
小さな切り傷や軽い風邪がいつの間にか治るのは自然治癒力のおかげですが、つらい痛みや発熱などの症状があり、体力が落ちた状態が続けば自然治癒力だけでは治るのが遅くなったり、重症になってしまったりするので対症療法で自然治癒力をサポートします。

一方、病気の原因そのものをなくす治療法を「原因療法」と呼びます。ウイルスや細菌などの病気の原因となる病原体をやっつけて、症状が重くなるのを防ぎます。インフルエンザに対する抗ウイルス薬、中耳炎や細菌感染による腸炎に対する抗生物質などが原因療法として用いられます。ただしこれらの場合も、傷ついたからだの細胞をもと通りにしてくれるのは自然治癒力です。

薬は自然治癒力の強い味方ですが、できるだけ病気にならないために、また病気になっても軽くてすむように日ごろから自然治癒力を高めておきたいもの。そのためには十分な栄養や睡眠、適度な運動、規則正しい生活といった健康的な生活習慣が一番大事。つまり「健康なからだ=自然治癒力の高いからだ」なのです。

監修:加藤哲太(日本くすり教育研究所代表)