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10代のための健康情報! 月刊からだコラム

お風呂で疲労回復&ぐっすり快眠!

2021.03.31

日本は火山国としてたくさんの温泉に恵まれ、古くから温泉に親しんできたことから、日本人は温泉好き、お風呂好きといわれています。お風呂に入ってからだを洗うと、さっぱりして気持ちいいですよね。それ以外にもお風呂に入ると、からだにいいことがありそうです。

浴槽に肩までつかり、ゆっくりとからだを温めると、全身の疲れが取れてリラックスできます。これは温熱作用によるもので、筋肉や腱の緊張が和らぐことで肩こりなどが楽になります。また、血行が改善されることで老廃物や痛みを発する物質が洗い流され、細胞や組織の新陳代謝が活性化し、からだによい影響がもたらされることが知られています。※1
適切な入浴時間は、入浴温度によって異なりますが、体温が1.0℃程度上昇するのが適度な刺激になります。たとえば、41℃くらいであれば10~15 分程度で、額にうっすらと汗をかく程度が目安とされています。※1長湯は脱水や肌の乾燥を引き起こし、かえってからだに悪影響であるため注意が必要です。

さらに、入浴によって睡眠の質が向上することもわかっています。
アメリカのテキサス大学の研究グループが行った調査によると、就寝の1〜2時間前に40~42.5℃の浴槽につかるか、シャワーを浴びることにより、入眠までの時間が約10分間短くなることが明らかになりました。また、全体的な睡眠時間も長くなり、ベッドに入っていた時間のうち実際に眠っていた時間が占める割合(睡眠効率)も高かったという結果が得られました。※2ぐっすり安眠することができれば、疲労を翌日まで残さずに済み、授業や部活動に集中できますね。

「今日はちょっと疲れたな」という日は、お気に入りの入浴剤などを使って、リラックスしながらバスタイムを楽しんでみてはいかがでしょうか。

※1 前田眞治 環境と健康 25(1):20-27, 2012

※2 Sleep Medical Reviews 46:124-135, 2019

監修:川田浩志(東海大学医学部教授)

集中力・やる気を高めて学習効率アップ!

2021.02.26

新型コロナウイルス流行の影響で、自宅学習する機会が増えたという人は多いのではないでしょうか。
一人で黙々と勉強していると、考えがまとまらず、集中力ややる気が続かないことも多いものです。そこで今回は、集中力ややる気を高める方法をいくつかご紹介します。

① 音楽を聴く

休憩時間中に音楽を聴くことで、休憩後の集中力が高まることがわかっています。
ある調査では、対象者を「音楽あり」と「音楽なし」の条件で分け、単純な計算作業の間に10分間の休憩時間をとり、「音楽あり」の対象者には休憩時間にクラシック音楽を聴いてもらったところ、疲労・ストレスが緩和され、集中力の持続によい影響がもたらされるという結果が得られました。※1
ただし勉強しながら音楽を聴くことは、人によってはかえって集中力を低下させる原因になってしまうため、注意が必要です。

② 鉄分を意識的にとる

集中力が続かない原因のひとつとして、鉄分不足が考えられます。鉄分が不足すると、注意力や記憶力、学習能力といった認知機能が低下してしまうことが明らかになっています。※2そんなとき、鉄分の吸収を阻害するコーヒー等に含まれるカフェインや、加工食品・インスタント食品等に含まれるリン酸塩をとるのは逆効果。レバーや緑黄色野菜、魚介類など、鉄分を多く含む食材を意識的にとるよう心がけましょう。

③ 友達と一緒に勉強する

大学生を対象にしたある調査で「友人との学習で、学習に良い効果は得られましたか、それとも得られませんでしたか」というアンケートを取りました。すると、「よい効果を得られた」と答えた人の回答からは、友達と互いに教え合うことによってわからないことが解決し、学習の理解が深まるといった効果が得られることがわかりました。※3
また、大学生を対象にして、友人との学習がやる気や学習パフォーマンスに与える影響について調べたところ、友人と一緒に勉強し、学習内容を自分の興味があることと関連づけることによって、学習の持続性(モチベーションの維持)によい影響がもたらされることが明らかになりました。※3
一方で、雑談に夢中になってしまったり、必要以上に相手に競争意識を抱いたりしてしまうと、学習パフォーマンスは低下することが示されています。※3
今は、直接会って友達と一緒に勉強することは以前より難しくなってしまったかもしれませんが、オンライン通話ツールを利用して、リアルタイムで一緒に勉強してみてもよいかもしれませんね。

いかがでしたか? 新学期を控えた2〜3月は、自分の勉強スタイルを見直すチャンスです。この機会に、ぜひ自分に合った集中の仕方、やる気を高める方法を試してみてください。

※1 合唱顕ら 人間・環境学会誌 16 (1):6, 2013

※2 Rebecca L. Cook et al. Nutrients 9 (11):1216, 2017

※3 上淵寿ら 日本教育工学会論文誌 40 (Suppl.):29-32, 2016

監修:川田浩志(東海大学医学部教授)

唾液の力でウイルス感染を予防

2021.01.29

気温が低く乾燥する冬は、ウイルスが好む環境となり、感染力が強まります。新型コロナウイルスはもちろん、インフルエンザの流行にも注意が必要です。とくに受験シーズンという人は、大切な試験の前に体調を崩さないよう、いつも以上に気をつけなければいけませんね。

ウイルスは、目、鼻、そして口の粘膜を介して感染します。予防にはマスクの着用や小まめなうがい・手洗いが有効ですが、もう一つ、口の中で感染予防に一役買っているものがあります。唾液です。

唾液は、健康な成人で1日に1.0~1.5リットル分泌されるといわれています。※1口の中を潤し、舌や頰の内側を滑らかにして、食べ物を飲み込んだり発声したりといった機能をサポートするだけでなく、歯や粘膜の表面を防御する役割も担っています。
また、一部の病原体は、唾液に含まれる免疫物質や抗菌物質の働きによって退治することができます。中でもIgAという免疫物質は、唾液や鼻汁、涙腺など、全身の粘膜に存在し、身体の中に入ろうとするさまざまなウイルスや細菌などの侵入を防ぐことが知られています。

最近、唾液と、そのなかに含まれるIgAの分泌量が、食べ物の種類によっては増加するという興味深い研究が報告されてきています。たとえばある研究では、被験者(ひけんしゃ)*にヨーグルトを12週間毎朝約100gずつ食べてもらったところ、唾液の分泌量とインフルエンザA型の防御に有効なIgAの唾液中濃度がともに増加するという結果が得られました。※2また、食べ物だけでなく、適度な負荷を加える運動でも同様の効果を示すという研究結果もあります。※3

新型コロナウイルスに対する唾液の防御作用については、まだ明らかになっていませんが、口の中を唾液で潤し、乾燥させないようにすることはウイルス感染予防においてとても大切だと考えられます。唾液の分泌量を減らさないよう、水分を充分にとり、よく噛んで食べることを心がけて「唾液力」アップを目指しましょう。

※1 厚生労働省 e-ヘルスネット 健康用語辞典

https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/alcohol/ya-004.html外部リンク

※2 Keiichi Tsukinoki et al. Acta Odontologica Scandinavica 77(7):517-524, 2019

※3 Trochimiak T. et al. Sport 29:255-261, 2012

* 試験や研究の対象となる人。

監修:川田浩志(東海大学医学部教授)

「食べる順番」でお正月太りを解消

2020.12.25

2020年も、残すところわずかとなりました。

お正月は、おせち料理やお餅をはじめ、ごちそうを食べる機会が多いものです。ついつい食べ過ぎてしまい、毎年この時期に体重の増加が気になるという人は多いのではないでしょうか。
健康的に体重を元に戻すには運動量を増やすべきだとはわかっていても、寒い冬はなかなかやる気が起きませんよね。

そんなあなたに、耳寄りな情報があります。なんと食べる順番に気をつけるだけで、体重の増加を抑えられるというのです。
健康指導が必要な成人男女を対象としたある研究で、食事を始めてから5分間は食物繊維を含む食品(野菜・キノコ・コンニャクなど)や、たんぱく質や脂質を含む食品(魚・肉・卵料理など)のみを食べ、その後に主食(ご飯など炭水化物を含む食品)を食べるよう指導されたグループは、従来の健康指導のみを受けたグループで6ヵ月後に平均0.90kgの体重増加が認められたのに比べて、同じ期間で体重が平均0.53kg減少したことが報告されており※1、2つのグループ間では約1.4kgの差が認められました。

炭水化物より先に食物繊維を含む食品をとると、消化管から余分な糖の吸収が抑えられます。また、炭水化物の前にたんぱく質や脂質を含む食品をとると、食欲を抑えるGLP-1という消化管ホルモンの分泌が促され、食べ過ぎを防ぐことができるのです。※1

成長期の健康を維持するには、タンパク質、カルシウム、鉄、ビタミンなどの各栄養素を、主食・主菜・副菜を基本とした適正量の食事でバランスよくとることが大切です。農林水産省では、食生活をチェックすることができる教材※2や小学生・中学生向け食事バランスガイド活用事例集※3を紹介しています。「やせたいからサラダしか食べない!」「この時期はおもちだけで一食済ませる」なんていう人をときどき見かけますが、急に食事の量や品目を減らしてしまうと、栄養が偏るうえに満腹感も得られません。

まずは食べる順番を見直すことから始めて、いつも通りの食事を楽しみながら、無理のない体重管理を心がけましょう。

※1 Daisuke Yabe et al. Journal of Diabetes and its Complications
33(12):107450, 2019

※2 厚生労働省・農林水産省 「『食事バランスガイド』で実践 毎日の食生活チェックブック」:

https://www.maff.go.jp/j/syokuiku/pdf/check_book.pdf外部リンク

※3 農林水産省 「食事バランスガイド」教材:

https://www.maff.go.jp/j/balance_guide/b_sizai/kaisetusyo.html外部リンク

監修:川田浩志(東海大学医学部教授)

おうち時間のドライアイに要注意!

2020.11.30

新型コロナウイルス流行の影響で“おうち時間”が増えて、パソコンやスマートフォン、タブレットなどと向き合う時間や、テレビの視聴時間が増加した、という人は多いのではないでしょうか。
令和元年度の内閣府の調査によると、中学生のインターネット利用時間は1日当たり平均約176分。※1この結果からも私たちはたくさんの時間を、デジタル端末を見て過ごしていることがわかります。

長時間にわたりデジタル端末やテレビの画面を見つめ続けると、目に負担がかかって疲れてしまいます。さらに、乾燥している室内では、「ドライアイ」にも気をつけなくてはなりません。

通常のまばたきの回数は1分間に平均20回ほどですが、画面に熱中するゲームの時には回数が減り、平均5回程度になるといわれています。※2まばたきの回数が減ると、目の表面を覆う涙が蒸発して目が乾きやすくなります。涙には角膜を保護する役割があり、涙の量が減ってしまうと、目が傷つきやすくなります。このような状態を「ドライアイ」といいます。
ドライアイになると、目がゴロゴロして異物が入ったように感じることがあります。視界がぼやけて見えにくくなることもあり、症状が重い場合は治療が必要です。

乾燥する冬は特に注意が必要ですが、空調が効いた部屋では、1年中ドライアイの危険があります。予防には、まず目を使い過ぎないこと。画面を見ている間は意識的にまばたきの回数を増やすようにしましょう。また、空調が目に直接当たらないように注意し、加湿器で湿度を調整したり、人工涙液タイプの目薬を1日数回さしたりするのも効果的です。※3

スマートフォンなどのデジタル端末は楽しいおうち時間に欠かせないかもしれませんが、夢中になるのもほどほどに。たまにはデジタル端末から距離をおいて、大切な目をしっかり休ませましょう。

※1 内閣府「令和元年度 青少年のインターネット利用環境実態調査 調査結果(速報)」:

https://www8.cao.go.jp/youth/kankyou/internet_torikumi/tyousa/r01/net-jittai/pdf/sokuhou.pdf外部リンク

※2 佐藤直樹 あたらしい眼科 9:2103-2106, 1992

※3 日本眼科医会ホームページ「ドライアイにはどんな対策があるの」:

https://www.gankaikai.or.jp/health/42/08.html外部リンク

監修:川田浩志(東海大学医学部教授)

運動習慣で「やり抜く力」がアップする?

2020.10.30

実りの秋がやってきました。「秋」といえば、食欲、読書、芸術、そして、スポーツの秋です。
「スポーツの秋」と言われる理由はいろいろありますが、秋は運動会が多く行われる時期であり、暑すぎず、寒すぎず、運動しやすい気候だからということが挙げられます。

思春期には、体の成長に伴って心臓や肺の機能も発達して持久力が高まり、運動をすることで骨量も大幅に増加します。しっかりした体の土台を作るには、この思春期における運動の習慣が決め手となります。

しかし残念なことに、令和元年度のスポーツ庁の調査によれば、中学生女子では保健体育の授業を除く1週間の総運動時間が「週60分未満」の人が全体の19.7%、そのうち「0分」の人は全体の13.3%と、全体の約2割もの人に運動する習慣がほとんどないことがわかりました。※1

運動には免疫力を高め、風邪にかかりにくくするなど病気を予防する効果もあります。さらに見逃せないのが、心に与える効果です。思いっきり運動すると、さわやかな気分になってストレスの解消になるだけでなく、勉強やスポーツには欠かせない「やり抜く力」も培われることがわかっています。
同じくスポーツ庁が行った平成29年度の調査によると、12〜19歳の男女に「何でも最後までやりとげたいと思うか」と尋ねたところ、男女とも運動する頻度が高いほど、「とてもそう思う」と答える人の割合が高くなりました。※2

過ごしやすくなる秋こそ、手軽な運動からスタートして、丈夫な体と「やり抜く力」を同時に養いましょう。

※1 スポーツ庁「令和元年度全国体力・運動能力、運動習慣等調査報告書 調査結果の概要」:

https://www.mext.go.jp/sports/content/20191225-spt_sseisaku02-000003330_4.pdf外部リンク

※2 スポーツ庁「平成29年度体力・運動能力調査結果の概要及び報告書について」:

https://www.mext.go.jp/prev_sports/comp/b_menu/other/__icsFiles/afieldfile/2018/10/09/1409885_5.pdf外部リンク

監修:川田浩志(東海大学医学部教授)

寝る前に「いいこと3つ」を書き出せばハッピーに

2020.09.30

今日あったイヤな出来事が頭から離れずに気分が落ち込む、明日の試験のことを考えると不安で眠れない……。そんな夜を迎えることが多いなら、寝る前にその日にあった良かったことを3つ書き出す「いいこと3つ日記」を始めてみては? 「いいことなんて3つもなかったよ」と言わず、たとえば「今日の弁当のから揚げがおいしかった」とか「学校からの帰り道、きれいな花が咲いていた」というような小さなことでもいいんです。

いいこと3つ日記の効果は、研究で確かめられています。幸福度を上げたいと思っている59人に、いいこと3つ日記を1週間続けてもらったところ、その直後からウツウツとした気持ちが晴れ、その効果は半年も続きました。また1カ月後から6カ月後の幸福度も高くなっていたのです。※1ありきたりな日常の出来事でも「よかったな」「うれしいな」と感じる積み重ねによって心が晴れ、前向きな気持ちになれるということなのかもしれませんね。

このように物事をいい方向にとらえられる楽観的な人は、からだも健康なまま年を重ね、長生きできる傾向にあるようです。約6,000人の50歳以上の男女について楽観的な性格かどうかを調べ、その楽観度によって4つのグループに分けました。その後6~8年間に①慢性疾患(脳卒中、狭心症、糖尿病など)にかかっていないか、②認知機能が落ちていないか、③身体機能が良好かどうかを調べました。この3つを満たしているのが健康的に年をとれている条件としました。すると、最も楽観度が高いグループの人たちは最も楽観度が低いグループの人たちに比べて健康的に年をとれている人が24%多いという結果が出ました。※2

また、約7万人の成人女性、約1,500人の成人男性を楽観度によってグループに分けて10~30年間追跡した別の研究では、最も楽観度が高いグループの人たちは最も楽観度が低い人たちのグループよりも寿命が、女性の場合約15%、男性の場合約11%も長く、85歳以上まで生きられる可能性が女性では1.5倍、男性では1.7倍でした。※3

明日の心とからだの健康、そして未来の心とからだの健康のために、いつも前向きな気持ちを保っていたいものですね。

※1 Martin E. P. Seligman & Tracy A. Steen et al. Am Psychol 60(5) : 410-21, 2005

※2 Eric S. Kim et al. Am J Epidemiol 188(6) : 1084-91, 2019

※3 Lewina O. Lee et al. Proc Natl Acad Sci USA 116(37) : 18357-18362, 2019

監修:川田浩志(東海大学医学部教授)

“ながら食べ”は肥満のもと!?

2020.08.31

スマートフォン(スマホ)やパソコンを操作しながら、雑誌を読みながら食事をする“ながら食べ”。「行儀が悪い」としかられた経験がある人もいるかもしれませんが、飲食店などでは大人、子どもにかかわらずやっている人を見かけるし、別に目くじらを立てることではないのでは?という気もしてきそうです。しかし、行儀がどうこうという問題もさることながら、“ながら食べ”をすると必要以上に食べ過ぎてしまったり、満腹感が得られにくかったりするようです。

18歳から28歳までの男女62人に、スマホの画面を見ながら、印刷物を見ながら、どちらも見ないという3パターンで、バイキング形式で好きなものを満足するまで食べてもらう様子をビデオ撮影し、食事内容を比較するという試験が行われました。バイキングに出された料理は3回とも同じです。その結果、スマホの画面や印刷物を見ながら食事をすると、どちらも見ない場合に比べて摂取カロリーが15%も高くなったことがわかりました。理由は明確にはなっていませんが、スマホの画面や印刷物を見ながらの食事では脂質の摂取を増加させる傾向もみられました。「食事中に気が散るものがあると、脳はどれだけ食べたかがわからなくなって満腹感が得られにくくなるのではないか」と研究者らは考察しています。※1

別の試験では、18歳から65歳までの43人がパソコン作業をしながらピザを食べた場合と作業を中断してピザを食べた場合を比較。どちらも同じ味のピザを満足するまで食べてもらいました。すると食べた量には差がなかったものの、パソコン作業をしながら食べた方が、満腹感が得られにくいという結果に。パソコン作業前後のストレス度も調べたところ、作業を中断してピザを食べた場合はストレス度が低くなりましたが、作業をしながら食べた場合はストレス度が高くなっていました。※2

一般的に食事にはストレス解消効果が期待できますが、“ながら食べ”ではせっかくのメリットが得られにくくなってしまうと言えそうです。

“ながら食べ”はやめて、ゆっくりと食事を楽しみましょう。

※1 Renata Fiche da Mata Gonçalves et al. Physiol Behav 204:93-9, 2019

※2 Feng Ding et al. Nutrients 11(7):1545, 2019

監修:川田浩志(東海大学医学部教授)

10分間の軽い運動で記憶力アップ、
週1時間以上の運動で心が晴れる

2020.06.26

運動は筋力や持久力などの身体機能を高めて元気なからだを維持するのに役立ちますが、実はそれだけではありません。運動は脳も鍛えてくれるようです。しかも短時間の軽い運動でも効果があるというから驚き!

筑波大学の研究者らは、20歳前後の男女36人がウォーキングやヨガと同程度の軽い負荷になる自転車こぎ運動を10分間行った直後と、10分間安静に座っていた直後のそれぞれに行った記憶力テストの成績を比べました。すると、運動後のほうが成績がよいという結果に。

参加者のうち16人で記憶力テスト中の脳の様子を画像診断装置で調べた結果、運動後は新しいことを記憶するうえで重要な脳の海馬(かいば)が活性化していることもわかりました。海馬が活性化している人ほどテストの成績がよかったので、運動の刺激は海馬を活性化してその機能を高めたと考えられるとのこと。※1

運動は心の健康維持にも役立ちます。約33,000人を11年間追跡した調査では、強度にかかわらず週に1時間以上運動している人は将来うつ病になりにくいことがわかりました。一方、まったく運動しなかった人は、週に1~2時間運動した人に比べてうつ病になる可能性が44%高かったのです。なお1週間の運動時間を2時間より長くしても、うつ病になる可能性がさらに低くなるというわけではありませんでした。※2

脳の活性化や心の健康のために、軽い負荷でも短時間でもいいからからだを動かす習慣を保つことが大切と言えそうですね。

※1 Kazuya Suwabe et al. Proc Natl Acad Sci USA 115(41):10487-92, 2018

※2 Samuel B. Harvey et al. Am J Psychiatry 175(1):28-36, 2018

監修:川田浩志(東海大学医学部教授)

正しい手洗いで感染を予防しよう

2020.05.29

新型コロナウイルスの感染が拡大したことで、私たちの生活も様変わりしました。自宅にいる時間が長くなり、友だちにも会えない日々が続いている人も多いでしょう。ウイルスの感染には、飛沫(ひまつ)感染や接触(せっしょく)感染などがあります。飛沫感染とは、感染している人が咳やくしゃみ、会話をした際に出るウイルスが含まれた飛沫(とびちったしぶき)を周囲の人が口や鼻から吸い込んで感染することです。周囲の人と2メートルくらい距離を取りましょうという「ソーシャルディスタンス」は、この飛沫感染を防ぐために重要です。

一方で、接触感染は、ウイルスが付着した手指で鼻や口や目に触れることで、粘膜などを通じてウイルスが体内に入り、感染することです。感染している人がくしゃみや咳をするときに口を手で押さえた後、その手でドアノブ、スイッチ、手すり、遊具など周りの物や場所に触れるとウイルスが付きます。その後、他の人がそれらの物や場所を触るとウイルスが手に付着し、その手で口、鼻、目を触ることで、粘膜から感染してしまいます。接触感染を防ぐためには、小まめな手洗いが何よりも大切です。

新型コロナウイルスのデータではありませんが、ノロウイルスに似たカリシウイルスをつかって、手洗いの時間と回数による効果を調べた研究※1では、手洗いをしなかった場合は、手に100万個のウイルスが付いたままだったのに対し、ハンドソープで10秒のもみ洗いをした後に流水15秒のすすぎを2回繰り返した場合は、ウイルス除去効果が高まることが報告されています。

手洗いは、とても簡単な感染予防法ですが、正しい方法でおこなわないと効果は十分得られません。基本となる手洗いは、以下の5つのステップです。

①  流水(温水または冷水)で手を濡らした後に、石けんやハンドソープをつけます。

②  泡立たせてから、手のひら、指先、もう一度手のひら、手の甲、指の間、親指まわり、手首の順によくこすります。


  • 手のひら

  • 指先

  • 手の甲

  • 指の間

  • 親指まわり

  • 手首

③  少なくとも20秒はかけましょう。「ハッピーバースデー」の歌を最初から最後まで2回歌うぐらいの時間です。

④  流水でよく手をすすぎます。

⑤  ペーパータオルや清潔なタオルを用いて手を拭き、拭いたタオルをつかって水を止めます。

爪を短く切ったり、時計を外したりするのも忘れないように。正しい手洗いは、あなたとあなたの大事な人を守るために、誰もができることです。

※1 森功次ら 感染症学雑誌 80(5):496-500, 2006

監修:川田浩志(東海大学医学部教授)

たまには“SNS断ち”をして
心をリフレッシュ!

2020.04.28

総務省の「平成30年版情報通信白書」によると、13歳から19歳の約7割、68.4%がLINEやFacebookなどのSNS(ソーシャルネットワーキングサービス)を利用しています。SNSは毎日の生活になくてはならないものという人も多いでしょう。でもちょっと待って!

Facebookの利用状況と心身の健康度の関連を調べた研究によると、他者の書き込みに共感したときなどに行う「いいね」をつける回数が多いほど幸福感や健康度、人生の満足度が低いという関連がみられました。一方で、実社会での人とのつながりが深いほど、これらはいずれも高くなりました。研究者は「Facebookにのめり込み過ぎるのは幸福感を下げるようだ」と述べています。※1

「SNSでのやり取りで心が折れそうになることがある」という人、いませんか?そんなときは思い切って1週間の「SNS断ち」を試してみましょう。Facebookを利用する大学生を対象とした研究によると、Facebookの利用を1週間やめてもらったらストレス度が改善したという結果が出ています。特に利用時間が長かった人に効果的だったとか。※2

SNSの利用時間が不安感や孤独感、うつうつとした気持ちに与える影響を調べた別の研究では、心の健康のために1日のSNSの利用時間は30分程度にするのが好ましいという結果が出ています。※3たまにはSNSから離れてみませんか?心が軽くなるかもしれませんよ!

※1 Holly B. Shakya et al. Am J Epidemiol 185(3):203-11, 2017

※2 Ofir Turel et al. Psychiatry Res 270:947-53, 2018

※3 MELISSA G. HUNT et al. J Soc Clin Psychol 37(10):751-68, 2018

監修:川田浩志(東海大学医学部教授)

運動する時間がなくても
「1日3回全力ダッシュ」で
からだも心も健康に

2020.03.27

健康なからだ作りのために運動は欠かせません。でも部活は文科系だし塾もあるし、体育の授業以外でからだを動かすことはほとんどない……なんて人もいるのでは?そんな人に朗報です。全力で20秒×3回、合計たった1分の運動でも、適度な強度で45分間行う運動と同じくらいの持久力アップ効果が期待できそうです。

事務仕事の男性を対象に行った研究によると、全力での自転車こぎ運動を2分間隔で20秒×3回、12週間毎日行った人たちと、息が切れない程度の強度で45分間自転車こぎ運動を同様に行った人たちのどちらでも、持久力の指標となる最大酸素摂取量(からだに酸素をとり込む能力)が同じくらい高くなりました。※1

近年、「強めで短め」でも「適度な強度で長め」でも同じような運動効果が得られるという研究報告が増えています。心の健康に対しても同じくらい期待できるという報告も。※2「運動不足かも」という日は、たとえば学校の行き帰りの安全な道でダッシュしてみたり、階段をかけ上がったりしてみては?

※1 Jenna B. Gillen et al. PLoS One 11(4):e0154075, 2016

※2 MATTHEW J. STORK et al. Med Sci Sports Exerc 50(10):2110-21, 2018

監修:川田浩志(東海大学医学部教授)

マスクで風邪やインフルエンザは
防げるの?

2020.02.28

風邪やインフルエンザのシーズン真っ盛り。感染予防のために外出時にマスクをしている人も多いですが、マスクだけでは感染を防ぎきれないようです。あわせて習慣にしたいのが手洗いと手指の消毒。大学生1,437人を「マスクをする」「マスクをして手指の消毒もする」「どちらもしない」の3つのグループに分けて6週間様子をみた研究報告によると、マスクのみではインフルエンザの発症を予防する効果は認められませんでした。マスクをして手指の消毒をすれば予防効果あり、という結果に。※1

ウイルスは、感染者の咳やくしゃみなどで飛び散ったウイルス入りのしぶきを吸い込んで感染するほか、ウイルスがついたものを触った手で口もとや鼻のまわりを触ってしまうことでも感染します。だから外出時はよく手を洗って手指を消毒することや、なるべく口や鼻のまわりを手指で触れないようにすることが大切なのです。

では、感染予防のためにマスクの着用とセットですすめられることがあるうがいは?首相官邸ホームページ「インフルエンザ(季節性)対策」※2では「うがいは、一般的な風邪などを予防する効果があるといわれていますが、インフルエンザを予防する効果については科学的に証明されていません」とあります。とはいえ、うがいをすると喉の粘膜がうるおい、防御機能が高まる効果が期待できますので、帰宅後のうがいもまったく意味がないわけではありません。

風邪やインフルエンザにかかってしまったら、からだを休めるためと、ほかの人にうつさないために、外出は極力避けて安静に過ごしたいところです。それから外出時に心がけたいのが「咳エチケット」。とっさに出てしまう咳やくしゃみは、口や鼻を素手で覆って受けるのではなく、なるべくティッシュやハンカチで受けるようにしましょう。

※1 Allison E. Aiello et al. J Infect Dis 201(4):491-8, 2010

※2 首相官邸ホームページ「インフルエンザ(季節性)対策」:
https://www.kantei.go.jp/jp/headline/kansensho/influenza.html外部リンク

監修:川田浩志(東海大学医学部教授)

成績アップに食物繊維たっぷりの
朝ごはんを

2020.01.08

朝ごはんは毎日を元気にすごすための活力の源。文部科学省の「全国学力・学習状況調査」(2018年度)では、朝ごはんをちゃんと食べている人の方がテストの成績がよいという関連がみられました。同調査によると、朝ごはんを食べないことがある子どもは年々増える傾向にあり、その割合は中学3年生では5人に1人(20.3%)に及びます。こんなにいるんですね。

成績アップのためにも朝ごはんはきちんと食べましょう。4歳から18歳の男女を対象に、朝ごはんとその日の学習成果の関連を調べた研究によると、朝ごはんを食べた日は食べない日に比べて、注意力、実行力、記憶力などを必要とする作業がはかどるケースも報告されています。※1

では朝ごはんにはどのようなものを食べたらいいのでしょうか。脳のエネルギー源になる糖の補給が大切といわれますが、朝ごはんの内容と学習成果の関連を調べた研究報告によると、糖の吸収がおだやかで血糖値が急上昇しない食事をとるほうが学習能力に対してよい効果があるかもしれないとのことです。※2

主食には、糖の吸収をおだやかにしてくれる作用をもつ食物繊維が豊富なもの、たとえば白米ごはんよりも玄米ごはんや麦ごはん、精製した小麦でできた食パンよりも未精製の全粒粉入りのパン、小麦の外皮(ふすま)を使ったシリアルなどがよさそうです。まっ白ではなく茶色っぽいのが、食物繊維が豊富な印です。もちろん野菜や、肉、魚などバランスよく食べるのも大切です。

※1 Adv Nutr 7(3):590S–612S, 2016

※2 Am J Clin Nutr 100(2):626-56, 2014

監修:川田浩志(東海大学医学部教授)