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2019年03月28日印刷はこちらから企業

大日本住友製薬からのカーブアウトベンチャー企業であるAlphaNavi Pharma 株式会社の設立および投資について

京都大学イノベーションキャピタル株式会社(以下「京都iCAP」、本社:京都市左京区、代表取締役:室田 浩司)と大日本住友製薬株式会社(以下「大日本住友製薬」、本社:大阪市中央区、代表取締役社長:野村 博)はこのたび、大日本住友製薬からのカーブアウトベンチャー企業であるAlphaNavi Pharma株式会社(以下「AlphaNavi」、本社:京都市左京区、代表取締役:小山田 義博)が設立され、第三者割当増資を実施したことをお知らせします。
AlphaNaviが実施した総額約9億円のラウンドA第三者割当増資には、投資家連合として京都iCAP、新生キャピタルパートナーズ株式会社、SMBC ベンチャーキャピタル株式会社、日本ベンチャーキャピタル株式会社、中信ベンチャーキャピタル株式会社、大日本住友製薬が参加しています。

AlphaNaviは、大日本住友製薬の従業員2名が京都iCAPの支援を受けて2019年1月に設立した、大日本住友製薬からカーブアウトしたベンチャー企業です。大日本住友製薬は、自社で創製し神経障害性疼痛を対象に開発中のDSP-2230(開発コード)について、外部との連携を通じて、遺伝変異に伴う神経障害性疼痛疾患などを対象にした研究開発を推進することを目的として、カーブアウトすることとしました。AlphaNaviは大日本住友製薬からDSP-2230の製造・開発・販売権のライセンスを受けており、DSP-2230を小児四肢疼痛発作症などの治療薬として実用化することを目指します。

小児四肢疼痛発作症はアンメット・メディカル・ニーズの高い希少疾患です。京都大学医学研究科の小泉昭夫名誉教授らと秋田大学医学系研究科の高橋勉教授らの研究グループは、乳幼児期から周期性を伴い寒さや疲労によって誘発され疼痛発作をおこす特徴的な症状を持つ日本人家系を発見し、その症状を小児四肢疼痛発作症と命名しました。また、この疼痛の発作原因が、電位依存性ナトリウムチャネルであるSCN11A遺伝子(Nav1.9)の一塩基変異によるものであること、この変異が末梢神経に局在する当該チャネルの異常興奮を引き起こし疼痛の発症につながることを明らかにしています。

今後、AlphaNaviは、小泉名誉教授とDSP-2230の非臨床試験に関する共同研究契約の締結を予定しており、小児四肢疼痛発作症などのアンメット・メディカル・ニーズの高い疾患に対するDSP-2230の効果や特徴をより明確にし、臨床開発を推進します。

京都iCAPは、既存薬では効果が不十分な疼痛患者さんに一日でも早く新規治療薬を届けたいというAlphaNaviの経営理念と同社のパイプラインのポテンシャルを高く評価し、同社設立前からカーブアウト実施などの事業開発を含めた支援を行いました。大日本住友製薬は、DSP-2230のカーブアウトやAlphaNaviを中心としたアカデミアとの産学連携のオープンイノベーションが新たな開発戦略に基づいたDSP-2230の研究開発促進につながり、アンメット・メディカル・ニーズの高い疾患の治療に貢献できることを期待しています。

AlphaNaviの科学技術顧問である小泉名誉教授は、次のように述べています。「小児四肢疼痛発作症は、主に幼児期から思春期に発現し、その強い痛みのためQOLを著しく損ないます。学校や幼稚園など教育関係者のこの疾患に対する理解が十分でないことが多く、患者さんおよびご家族は就学に大きな困難を抱えている可能性があります。AlphaNaviの活動を通じて新たな患者さんの特定が進められることを期待します」

小泉名誉教授の共同研究パートナーである高橋教授は、次のように述べています。「既存の疼痛薬では効果のない小児四肢疼痛発作症の原因が解明された今、原因遺伝子の機能を阻害する治療薬の実用化が、最も期待できる治療法開発と考えられます」

AlphaNaviの小山田代表取締役は、次のように述べています。「近年、電位依存性ナトリウムチャネルの変異により疼痛が引き起こされることが世界的に明らかとなっています。DSP-2230は、その変異により生じた異常な神経興奮を抑制することにより痛みを軽減することが期待されます。AlphaNaviは患者さんとそのご家族を中心とした産官学の連携により、DSP-2230の開発を迅速かつ効率的に進めたいと考えています」

【AlphaNavi Pharma株式会社の概要】

(1)設立日 : 2019年1月
(2)本社所在地 : 京都市左京区吉田本町36番地1(京都大学国際科学イノベーション棟内)
(3)代表取締役  : 小山田 義博
(4)大阪事務所  : 大阪府吹田市江の木町33-94(大日本住友製薬 総合研究所内)
(5)事業内容  : DSP-2230など選択的な電位依存性ナトリウムチャネル阻害剤の研究開発

(ご参考)

【カーブアウトについて】

カーブアウトとは、企業が事業の一部分を切り出し、その事業を社外事業の1つとして外部資本を組み合わせた上で独立させることで、独立した事業を新たにベンチャー企業として設立することをいいます。

【DSP-2230について】

DSP-2230は、大日本住友製薬が創製した新規のメカニズムを有する選択的な電位依存性ナトリウムチャネル阻害剤です。神経障害性疼痛モデルを用いた非臨床試験において、優れた鎮痛効果を示すとともに、既存薬で問題となっている中枢神経や心臓系の副作用を起こさないことが明らかになっており、ヒトにおいても安全性の高い新規疼痛治療薬となることが期待されています。本剤は、神経障害性疼痛を対象に開発されており、米国・英国・日本においてフェーズ1試験が終了しています。

【小児四肢疼痛発作症について】

小児四肢疼痛発作症は、寒さや疲労によって誘発される乳幼児の手足の疼痛発作のことであり、痛みの発作は「SCNA11A」という遺伝子の変異によるものであることが解明されています。詳細は、以下の京都大学の発表をご参照ください。
http://www.kyoto-u.ac.jp/ja/research/research_results/2016/160527_1.html

【京都大学イノベーションキャピタル株式会社(京都iCAP)について】

京都iCAPは、京都大学から生まれた研究成果を活用した企業を対象に投資やその他の事業支援を行うことを目的とし、2014年12月に京都大学の100%出資子会社として設立されました。2016年1月には京都大学と民間企業からの出資を受け、同社を無限責任組合員とする160億円のKYOTO-iCAP1号ファンドを組成しました。同ファンドの満期は最長20年間に設定しており、基礎研究に強みを持つ京都大学の研究成果の実用化を長期にわたって支援することが可能となっています。また、起業に興味を持つ方々を対象とした会員組織である「ECC-iCAP」を運営しており、スタートアップ企業の経営者候補の発掘にも力を入れています。

【大日本住友製薬株式会社について】

大日本住友製薬は、人々の健康で豊かな生活のために、研究開発を基盤とした新たな価値の創造により、広く社会に貢献することを企業理念としています。当社は、この理念を実現するため、また、日本はもちろん世界の方々に革新的で有用な医薬品をお届けするため、新薬の研究開発に全力を注いでいます。当社は、アンメット・メディカル・ニーズの高い精神神経領域、がん領域および再生・細胞医薬分野を研究重点領域とし、革新的な医薬品の創製を目指しています。