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2018年05月17日印刷はこちらから研究開発

米国臨床腫瘍学会(ASCO)2018におけるデータ発表のお知らせ

大日本住友製薬株式会社(本社:大阪市、代表取締役社長:野村 博)は、米国臨床腫瘍学会(ASCO:American Society of Clinical Oncology)の2018年年次総会(開催時期:6月1日~6月5日、開催場所:米国シカゴ)において、開発中の抗がん剤ナパブカシン(一般名、開発コード:BBI608)、DSP-7888(開発コード)およびTP-0903(開発コード)に関する臨床データおよび臨床試験計画が合計6演題発表されますので、お知らせします。

*抄録の内容は、ASCOのウェブサイトに掲載されています。(英語のみ)
http://abstracts.asco.org/214/IndexView_214.html)

【ナパブカシン】 BRIGHTER試験の結果

抄録番号演題発表日時、
場所
試験番号がん種
4010 The BRIGHTER trial: A phase 3 randomized double-blind study of napabucasin (NAPA) plus paclitaxel (PTX) versus placebo (PBO) plus PTX in patients (pts) with pretreated advanced gastric and gastroesophageal junction (GEJ) adenocarcinoma. 2018年6月3日8:00~11:30、
Hall A
16:45~18:00、
Hall D2 (ポスターディスカッション)
BRIGHTER試験:
NCT02178956
胃または食道胃接合部腺がん

(抄録に記載された要旨:参考和訳)
前治療歴のある進行性の胃または食道胃接合部腺がん患者を対象としたパクリタキセル併用プラセボ対照二重盲検ランダム化第3相試験(BRIGHTER試験: NCT02178956)の結果

本試験の概要 ・ナパブカシンとパクリタキセルの併用治療の忍容性は認められましたが、併用によるセカンドライン治療は胃または食道胃接合部腺がん患者のOS、PFSを改善しませんでした。
・2014年10月から2016年12月までに714人の患者が登録され、380イベント発生時の中間解析において、データ安全性モニタリング委員会より安全性の懸念はないものの、最終解析で主要評価項目を達成する見込みが低いため、試験途中での盲検解除を勧告されました。
安全性 ・有害事象の発現割合は、ナパブカシン群で98.6%、プラセボ群で96.6%とほぼ同様でした。グレード3以上の有害事象はナパブカシン群で69.2%、プラセボ群で59.7%認められ、グレード3以上の下痢は、ナパブカシン群で16.0%、プラセボ群で1.4%であり、ナパブカシン群で多く認められました。
有効性 ・OSの中央値はナパブカシン群で6.93か月、プラセボ群で7.36か月であり、PFSの中央値はナパブカシン群で3.55か月、プラセボ群で3.65か月でした。評価可能な患者において、DCRはナパブカシン群で55%、プラセボ群で58%であり、ORRはナパブカシン群で16%、プラセボ群で18%でした。

【ナパブカシン】 フェーズ1または1/2試験の試験結果(2演題)

抄録番号演題発表日時、
場所
試験番号がん種
4110 Phase 1b/2 trial of cancer stemness inhibitor napabucasin (NAPA) + nab-paclitaxel (nPTX) and gemcitabine (Gem) in metastatic pancreatic adenocarcinoma (mPDAC). 2018年6月3日8:00~11:30、
Hall A
118試験:
NCT02231723
膵がん
e20578 A Phase 1b Study of Napabucasin (NAPA) + Weekly Paclitaxel (PTX) in Patients (pts) with Advanced Thymoma and Thymic Carcinoma. 抄録オンライン公開のみ 201試験:
NCT01325441
胸腺腫または胸腺がん

(ご参考)【ナパブカシン】 医師主導治験の試験結果(1演題)

抄録番号演題発表日時、
場所
試験番号がん種
3530 Multicenter phase I/II trial of BBI608 and pembrolizumab combination in patients with metastatic colorectal cancer (SCOOP Study): EPOC1503. 2018年6月3日8:00~11:30、
Hall A
SCOOP試験:
NCT02851004
結腸直腸がん

*本試験は、国立がん研究センター東病院が実施中の医師主導治験(SCOOP試験)です。

【DSP-7888】 フェーズ2試験の試験計画(1演題)

抄録番号演題発表日時、
場所
試験番号がん種
TPS2071 A randomized, multicenter phase 2 study of DSP-7888 dosing emulsion in combination with bevacizumab (Bev) versus Bev alone in patients with recurrent or progressive glioblastoma. 2018年6月2日13:15~16:45、
Hall A
NCT03149003 膠芽腫

【TP-0903】 フェーズ1試験の試験計画(1演題)

抄録番号演題発表日時、
場所
試験番号がん種
TPS2612 A phase 1a / 1b first-in-human, open-label, dose-escalation, safety, pharmacokinetic, and pharmacodynamic study of oral TP-0903, a potent inhibitor of AXL kinase, administered daily for 21 days to patients with advanced solid tumors. 2018年6月4日8:00~11:30、
Hall A
NCT02729298 固形がん

(ご参考)

【ナパブカシンについて】
ナパブカシンは、STAT3 をターゲットとし、がん幹細胞性に関わる経路を阻害する新しいメカニズムの低分子経口剤です。がん幹細胞性の維持に関わる経路を阻害することにより、がん治療の課題である治療抵抗性、再発および転移に対する新たな治療選択肢となることが期待されます。本剤は、非臨床試験において、STAT3 経路、Nanog 経路およびβ-カテニン経路を抑制することが示されています。

【DSP-7888について】
DSP-7888は、WT1(Wilms' tumor gene 1)タンパク由来の開発中の治療用がんペプチドワクチンであり、WT1 特異的な細胞傷害性T細胞(CTL)を誘導するペプチドおよびヘルパーT 細胞を誘導するペプチドを含む新規ペプチドワクチンです。本剤の投与により誘導されるCTL が、WT1 タンパクを発現するがん細胞を攻撃することで、種々の血液がんおよび固形がんに対して治療効果を発揮することが期待されます。ヘルパーT 細胞を誘導するペプチドを加えることによって、CTL を誘導するペプチド単独よりも高い有効性を示すと考えられます。本剤は、幅広い患者への適応が期待されます。

【TP-0903について】
TP-0903は、AXL受容体チロシンキナーゼ阻害剤です。抗がん剤への耐性やがんの転移などに関与するとされているキナーゼの一つであるAXL を阻害し、間葉系細胞様の性質への移行を妨げることによって、様々ながん腫の細胞に対する抗腫瘍作用を示すと考えられます。本剤は、非臨床試験において、AXL シグナル伝達を阻害し、間葉系細胞様から上皮細胞様の性質に逆転させることが示されています。

以上