大日本住友製薬 統合報告書 2019
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財務セクション全般の概況 当期(2019年3月期)の医薬品業界では、増大する社会保障給付費を抑制するための世界的な動きとして、先発医薬品の価格抑制や後発医薬品の使用促進が一段と進むなか、ますます研究開発費は高騰し、競争は激化しています。その一方で、デジタル技術を活用した創薬の進展や予防医療への関心の高まりなど、変化の兆しが見られます。 このような状況のもと、当社グループは、日本において「トルリシティ」「トレリーフ」「ロナセン」などの売上拡大に経営資源を集中するとともに、効率的な事業活動に取り組みました。 北米においてはサノビオン社が、グローバル戦略品である非定型抗精神病薬「ラツーダ」の売上最大化を図るとともに、他の主力製品の売上拡大に向けて事業活動を行いました。 なお、「ラツーダ」については、当社およびサノビオン社は、当社が保有する用途特許などの侵害を理由として、2018年2月に後発医薬品メーカー16社に対する特許侵害訴訟(以下「先行訴訟」)を、また、2018年8月から10月に後発医薬品メーカー3社に対する3件の特許侵害訴訟(以下「追加訴訟」)を、それぞれ米国ニュージャージー州連邦地方裁判所に提起していましたが、同裁判所の関与のもと、被告各社との間で和解などの協議を進めた結果、2018年12月3日までに先行訴訟のすべての被告との間で訴訟が和解により終結しました。また、追加訴訟については、当期末現在、2件が和解により終結していますが、まだ1件が係属しています。なお、先行訴訟および追加訴訟の被告であった複数の後発医薬品メーカーは、和解契約の条項に従い、2023年2月20日以降、米国において「ラツーダ」の後発医薬品を販売することができることになります。 中国においては、住友制葯(蘇州)有限公司が、カルバペネム系抗生物質製剤「メロペン」などの売上拡大を図るべく事業活動を展開しました。経営成績売上収益:4,593億円 (前期比1.6%減) 当社グループの収益の柱である「ラツーダ」や抗てんかん剤「アプティオム」の売上増加などにより北米セグメントは増収となりました。一方、昨年4月に実施された薬価改定の影響に加え、長期収載品の売上減少により日本セグメントが減収となったことなどから、売上収益は微減となりました。財政状態資産・負債および資本〈資産〉 非流動資産は、繰延税金資産が増加したことに加え、のれんが為替換算により増加しましたが、減損損失の計上などにより無形資産が減少した結果、前期末に比べ微増となりました。 流動資産は、現金及び現金同等物が減少し、その他の金融資産が大きく増加しました。また、棚卸資産や営業債権及びその他の債権が増加した結果、前期末に比べ247億円増加しました。 これらの結果、総資産は前期末に比べ250億円増加し、8,347億円となりました。〈負債〉 引当金が増加しましたが、社債の償還などによる有利子負債の減少に加え、営業債務及びその他の債務やその他の金融負債が減少した結果、前期末に比べ204億円減少し、3,366億コア営業利益:773億円 (前期比14.7%減) 日本セグメントにおいて薬価改定の影響などにより売上総利益が減少したことに加え、前期には販売権の譲渡に伴うその他の収益の計上がありましたが、当期にはこのような要因がないことから、コア営業利益は減益となりました。営業利益:579億円 (前期比34.4%減) 開発計画の見直しを含む事業計画の修正などに伴い、条件付対価公正価値の費用戻入が増加しましたが、無形資産である仕掛研究開発および販売権の減損損失や当社における生産拠点の統合などに伴う事業構造改善費用が発生したことなどにより、コア営業利益の減益に加え、営業利益はさらに減益となりました。税引前当期利益:650億円 (前期比23.4%減) 受取利息の増加に加え、当期末は前期末に比べ、為替換算レートが米ドルに対し円安に振れたことから、当社が保有する外貨建て金融資産において為替差益が発生しました。これらの結果、金融収益が増加しました。親会社の所有者に帰属する当期利益:486億円(前期比9.0%減) 親会社の所有者に帰属する当期利益の売上収益に対する比率は10.6%となり、前期に比べ0.8%減少しました。73大日本住友製薬株式会社 統合報告書2019経営成績および財政状況の分析

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