大日本住友製薬 統合報告書 2019
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だったと思いますが、長期的な観点を踏まえながら細部までよく練られた意欲的な計画に仕上がったと感じます。新井 当社は企業理念を実践するために、持続的成長を目指し重要課題をマテリアリティマップとして2018年にまとめ、ESGに重点を置く経営に取り組んできました。この取り組みがSDGs達成にもつながることが中計策定時にも考慮されています。長期的な目標として、ヘルスケア領域での社会の課題を解決する「グローバル・スペシャライズド・プレーヤー」という“2033年の目指す姿”が打ち出され、すべての従業員にとって大きな指針となる将来ビジョンが示されたものと評価しています。跡見 創薬という従来の経営の柱に加え、フロンティア事業をもう一本の柱とすべく立ち上げるという長期的な目標を定めています。当初、私は、この領域は競争が激しく、中途半端な気持ちでは柱に育てるのは難しいと指摘しました。その結果、経営の柱の一つに育成するためにどのような対応が必要かについて相当な議論を積み上げました。新井 私は、今回の中計において、製薬産業を取り巻く環境が変化する中で当社をどう位置付けるかに注目していました。製薬業界特有の課題とその対策が多くありましたが、関連部門による事前説明が大変役立ちました。丁寧な説明により、理解が深まり、取締役会で内容の濃い議論ができたと思います。計画策定のプロセスでは、事前説明時に出した質問や発言が必ず次の検討の俎上に載せられたという点で、草案の段階から議論に参画できました。佐藤 社外取締役からもいろいろと質問したり、意見したりしながら取りまとめられたので、我々からみても説得力のある内容に仕上がったと考えています。新井 企業文化の醸成や人材育成が大事になると考えており、求める社員像など従業員の姿についてもしっかり明記されたことは素晴らしいことと思います。佐藤 この中計では「ちゃんとやりきる力」が浸透した柔軟で効率的な組織基盤を構築することとしました。「ちゃんと」というワーディングには最初は疑問を呈しましたが、英語版にもローマ字で「CHANTO」と記載されました。グローバル企業として、海外の子会社も含めてグループ全体で意思統一を図るうえで、有効であったと現在では考えています。跡見 医師の立場から、社会が当社に最も期待しているのは、病から人々を救う優れた新薬を創出し続けること、すなわち本業を通じた社会課題の解決であると考えます。ただし新薬開発の成功確率は低く、この確率を少しでも高めるためには、社内にあるさまざまな新薬の芽を大切にしなければなりません。幸い当社にはユニークな発想を持った若い研究者が大勢いますので、そうした人材を育てて、能力を引き出していくことが大切です。新井 同感です。今後の研究開発が業績に大きな影響を与えるため、ルールを遵守しながらも受け身になることなく、イノベーティブで挑戦的な研究者が活躍できる環境を整えていく必要があると思います。佐藤 おっしゃる通りです。私がこの中計を高く評価する理由の一つは、当社が目指す将来像をはっきりと示すと同時に、その目標を達成するためのシステムや手法までをしっかり作り込んでいる点にあります。製薬業界を取り巻く環境は非常に厳しく、乗り越えるべき課題は少なくありませんが、中計ではそうしたリスク面もきちんと分析されています。跡見 今回の中計では、課題と対応が明確に示されており、投資家の方々にも納得していただけるものになっているのではないでしょうか。佐藤 当社には、より良い医薬品の提供を通じて患者さんや医療現場に貢献しようという高いモチベーションがあり、それが筋の通ったブレない事業戦略につながっているのだと思います。その姿勢がある限り、環境は厳しくとも難題を解決していけるはずです。跡見 そのために今後も危機意識を持って計画を遂行していただきたいですね。──皆さんは、中計の実現に向けての課題をどのように認識されていますか。大日本住友製薬株式会社 統合報告書201958

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