大日本住友製薬 統合報告書 2019
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 本中計は、「成長エンジンの確立」と「柔軟で効率的な組織基盤づくり」による抜本的な事業基盤の再構築に取り組みます。事業基盤の再構築が必要な理由は、「ラツーダ」が当社にないという状況を仮定して、次期の中計期間の成長をどう描けるかが大きな課題であるからです。すなわち「ラツーダ」からの収益があることで危機感が薄まってはいけないということを認識し、「ラツーダ」の独占販売期間の中でその収益・キャッシュ・フローを使って将来の成長のために「事業基盤の再構築」が必要であることを課題として示したかったのです。この認識を浸透させるために、今後従業員との対話の機会を通じて、繰り返し説明していくつもりです。 「成長エンジンの確立」としては、重点3領域の研究開発と事業成長に引き続き注力するのはもちろん、日米の拠点を中心に外部ネットワークを活用した創薬を一層推進しながら、最先端の研究成果やバイオマーカーを活用したPrecision Medicine(精密医療)の実現など、新たな創薬アプローチによるイノベーションの基盤強化を図ります。また、不確実性が高い領域でも確実に成果を創出していくために、環境変化を先読みした目標設定、エビデンスに基づく客観的な評価と意思決定、リスクマネジメントの徹底、バイオマーカーやビッグデータの活用による研究開発の確度向上・効率化などに注力します。 精神神経領域では、ドパミンD2受容体に作用しない新世代抗精神病薬SEP-363856をグローバルで確実に開発することを優先課題としています。2023年度の上市を社長メッセージA4Q4「中期経営計画2022」の具体的な成長戦略について教えてください。ポスト・ラツーダ※4を見据え、新たな成長エンジンの確立と、それを支える組織基盤の強化に注力します。2033年までには、ゲノム編集、末梢臓器再生、自家細胞治療などの次世代医療への展開を目指します。重点3領域ではすでにグローバルで社員が活躍しており、これらの領域に注力することで、そうした社員のモチベーションが高まることも期待しています。 この重点3領域に加え、アカデミアとの協働によって感染症領域の研究開発を推進します。現在、薬剤耐性菌感染症治療薬や、当社のアジュバント(免疫賦活)技術を生かせる万能インフルエンザワクチンやマラリアワクチンなどの開発プロジェクトを進めており、2020年代の上市を目指します。グローバルヘルスへの貢献を目指すとともに、薬剤耐性菌感染症治療薬や万能インフルエンザワクチンなどは大型製品となることを期待しています。 フロンティア事業は、今後のヘルスケアニーズが治療だけではなく予防から予後まで広がるなかで、当社として患者さんの治療および予後管理のみならず未病の方にも貢献していきたいという考えが根本にあります。本中計期間中に基盤を構築するため、2019年4月にフロンティア事業推進室を立ち上げました。自社の医薬事業とのシナジーが見込める領域を中心に、社会に新しい価値を提供するヘルスケアソリューションの事業化に取り組み、2030年頃にグローバルで1,000億円の事業規模への育成を目指します。本中計期間中には、進行中の社内外のプロジェクトや新規テーマを含めて早期の評価を行い、期待できるものは事業化へ進めます。そして次期中計期間には、数百億円規模の新たな成長エンジンとして確立させたいと考えます。※4 米国での「ラツーダ」の独占販売期間終了後17大日本住友製薬株式会社 統合報告書2019

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