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薬の自由研究ガイド

自由研究のテーマは決まりましたか?まだなら「薬」について調べてみてはいかがでしょうか。薬ができるまでのことや薬の種類、働き、使い方、薬の歴史、
薬に関するお仕事など、いろいろなテーマがありそうです。
ここでは、薬に関する自由研究の方法や研究のまとめ方についてガイドします。

後編:お薬手帳活用術 なぜ必要?どう使えばいい? STEP1 研究を始める前に

お薬手帳とは、いつ、どこで、何という薬を出してもらったのか、のむタイミングや量、回数などの薬の使い方、薬を使ってアレルギーや副作用が出たことがないか……といった、薬の使用にかかわる情報を記録しておくための手帳です。お薬手帳を正しく活用することで、薬をより安全に、より効果的に使えるようになります。

みんなはお薬手帳持ってる?

STEP2 テーマを絞り込む

まずはお薬手帳の現物を見てみましょう。あなた自身のものがなければ、家族の方のものを見せてもらってください。えっ?誰も持っていない? では以下に見本を示します。

お薬手帳
クリックするとダウンロードできます。

お薬手帳 (見本)

記入する項目名や、記入欄の大きさや配置は、必ずしもこのままとは限りません。

多くの場合、最初のほうのページに、自分の名前や連絡先、アレルギーや薬の副作用の有無などについて書く欄があり、そのあとに使う薬について書く、薬の記録欄があります。

お薬手帳のことを詳しく知るための、いくつかのヒントを以下に示します。

1人に1冊?
  • お薬手帳はどこで、どういうときに入手できる?
  • お薬手帳はどのような場面で、だれに見せるべきもの?
  • 薬の記録欄に貼ってある薬の情報が書かれたシールの内容は?
  • 薬の記録欄には自分でも何か書いたほうがいい?何を書けばいい?
  • お薬手帳は「1人に1冊」でなくてはならないのはなぜ?
  • お薬手帳を持っていて役に立つことは何?
  • お薬手帳の電子版ってどんなもの?

1人に1冊?

テーマ例:お薬手帳を上手に使うには

上のヒントを参考に、お薬手帳はどうして必要なのか、どのように使えば
いいのかについて、研究してみませんか?

STEP3 研究方法

お薬手帳を作る・記入してみる

あなた自身のお薬手帳がないなら、仮のお薬手帳を作ってみましょう。家族の方のお薬手帳を参考に作るか、上のお薬手帳の見本をプリントアウトして使ってもOKです。すでにお薬手帳を持っているなら、自分に関する情報の未記入欄を埋めるとともに、薬の情報が書かれたシールには何が書いてあるのか、ほかに書いておくべきことはないかなど、考えてみましょう。

お薬手帳を作る・記入してみる

薬剤師会、薬局、病院のウェブサイトを見る

薬の専門家たちが、お薬手帳の意義や使い方について一般向けに詳しく解説しているウェブサイトが参考になります。たとえば、薬剤師の集まりである「薬剤師会」のウェブサイトを見てみましょう。薬剤師会は、都道府県あるいは市区町村単位の会、そしてこれらが集まった全国組織の「日本薬剤師会」もあります。このほか、各薬局や病院のウェブサイトで、お薬手帳について紹介している場合もあります。

また、くすりのいろは 薬の「のみ合わせ」 Vol.3 薬と薬で起きることの解説コラムにもお薬手帳のことが書いてあるので参考にしてください。

STEP4 研究をまとめる

薬の自由研究ガイド<前編>でも紹介した通り、インターネット上の情報は全てが正しいとは限りません。今回も、資料を作った人や団体などが明記されているものを参考にしてください。
そして、どの資料を参考にしたかについても、研究レポートに書きましょう。

まとめ方の例

研究テーマ

お薬手帳はなぜ必要?どう使う?

このテーマを選んだ理由

右眼が赤くなり、かゆみもあったので眼科で診てもらい、薬の情報が書かれた「処方せん」が渡され、薬局に行くようにと言われた。薬局に処方せんを持っていったら、「お薬手帳、持っていますか?」と聞かれた。「持っていません」と答えたら、目薬と一緒にお薬手帳が渡された。お薬手帳には、出してもらった目薬のことが書かれたシールが貼ってある。「次回から、この手帳を持ってきてください」と言われた。この手帳は何のためにあるのか、どう使えばいいのかについて、調べてみようと思った。

研究したこと

お薬手帳の使い方とそれが必要な理由、電子版のお薬手帳について

研究結果
まずは、お薬手帳の最初のページに自分の情報を書いてみた。アレルギーや薬の副作用、これまでにかかった主な病気(既往歴)については、よくわからないこともあったので、父や母に聞いて記入した。
記入見本

[ アレルギー、これまでに経験した薬の副作用、既往歴、体質を書くのはなぜか ]

アレルギー:特定の食物や薬剤に対するアレルギーを持っている人は、
      避けたほうがいい薬があるから。

薬の副作用:薬の副作用で具合が悪くなったことがあれば、
      その副作用が出にくいタイプの薬を出してもらうことができるから。

既 往 歴:薬をのむことで、以前にかかったことのある病気が再発したり、
      別の病気を引き起こしたりするようなことがないか、確認するため。

体   質:たとえば胃腸が弱ければ、胃腸に負担がかかりにくい薬を出してもらったり、
      胃腸を保護する薬を一緒に出してもらったりできるから。

アレルギー:
特定の食物や薬剤に対するアレルギーを持っている人は、避けたほうがいい薬があるから。

薬の副作用:
薬の副作用で具合が悪くなったことがあれば、その副作用が出にくいタイプの薬を出してもらうことができるから。

既往歴:
薬をのむことで、以前にかかったことのある病気が再発したり、別の病気を引き起こしたりするようなことがないか、確認するため。

体質:
たとえば胃腸が弱ければ、胃腸に負担がかかりにくい薬を出してもらったり、胃腸を保護する薬を一緒に出してもらったりできるから。

[ 薬局で貼ってもらったシールには何が書いてあるか ]

書いてあったのは、
薬を出してもらった日、医療機関名、医師の名前、 薬の名前、効能・効果、注意、使い方、薬局の連絡先

記入見本

[ これらの情報が必要な理由 ]

薬の効能・効果や使い方が、いつでも自分で確認できる。次に何らかの病気にかかったとき、お薬手帳を医師や薬剤師に見せれば、過去に使った薬の情報が正確に伝わる。

[ 自分でも書いておくべきこと ]

お薬手帳は、自分の健康記録帳として役立つ。そのために書いておくべきことをまとめた。

  • 薬を使ってみて困ったこと(のみにくかった、味が苦手など)、
     体調の変化(気持ちが悪くなった、発疹が出たなど)
  • 薬局で買って使った薬やサプリメントの名前、
     いつ使ったか、使ったときの体調の変化など
  • 今度病院や薬局に行ったとき、
     医師や薬剤師に質問・相談したいこと

[ 「1人に1冊」でなくてはならない理由 ]

お薬手帳は、自分が使ってきた薬のことをすべて記録しておき、薬同士やサプリメントとののみ合わせ(相互作用)、アレルギーや副作用のことを医師や薬剤師に知ってもらうためにある。だから病院や薬局ごとに手帳を分けてはいけない。情報は1 冊にまとめておかなくてはならない。
以上の参考資料:○○薬剤師会のウェブサイト(http://……)お薬手帳とは?

[ お薬手帳を持っていくと、薬代が安くなることがある ]

診察代や薬代などを決めている「診療報酬」の内容が少し変わり、2016年4月からお薬手帳を薬局に持っていくと、薬代が30~40円(健康保険の自己負担の割合が3割の場合)安くなる場合があるという。ただし、以下の2つが条件。

  • ① 6カ月以内に同じ薬局を利用していること
  • ② 利用する薬局が、病院の近くにある大型の薬局(門前薬局)ではないこと

病気になったとき、すぐに相談できる「かかりつけ医」を持つのが大切なのと同様、自分にかかわる薬の情報をひとまとめに管理してくれる「かかりつけ薬局」を持つことを推進するために、このような条件がつけられたようだ。通いやすい近くの薬局を、かかりつけ薬局にするのが好ましい。

かかりつけ薬局があれば、自分のことをよく知っている薬剤師にいつでも相談できるという安心感がある。また、長期間同じ薬をのんでいるような人は、のみ忘れて薬があまってしまった場合、次に出してもらう薬の量を調整してもらうこともできるという。
参考資料:○○薬局のウェブサイト(http://……)お薬Q&A「平成28年度診療報酬改定のポイント」

[ お薬手帳の電子版について ]

スマートフォンなどに薬の情報を保管し、紙のお薬手帳と同様に活用できる電子版のお薬手帳もある。電子版ならサーバーにデータをバックアップしておけるという利点がある。のみ忘れ防止アラーム機能、QRコードを使って薬の情報をとり込む機能など、紙の手帳にはない機能を利用できる。
参考資料:○○薬剤師会のウェブサイト(http://……)電子お薬手帳

研究を終えての感想

お薬手帳をもらったときは、「薬のことが書いてあるシールを見れば、何の薬でどう使うのかがわかって便利なのかな」くらいにしか思わなかった。詳しく調べてみたら、この手帳は、薬や食べ物との相互作用、アレルギーや副作用を避けるために欠かせない、1人につき1冊渡されるものであることがわかった。診察券や保険証と一緒に大切に保管して、病院や薬局に行くときは忘れずに持っていくように気をつけたい。

お薬手帳も忘れずに...。

コラム

災害時に活躍したお薬手帳

2011年3月に起きた東日本大震災のとき、被災地の医療機関や薬局では、患者の病状や処置、経過を記録した「カルテ」や、これまでに使用した薬の情報が書いてある「薬歴」などが津波で流されてしまった、故障や停電のためにコンピュータに保存された情報がすぐには見られない……といったことがありました。

被災のために運営できなくなった医療機関や薬局の代わりに、震災直後から臨時の診療所や救護所が設置され、全国から医師や看護師、薬剤師などの医療スタッフが駆けつけました。持病があり、すぐにも次の薬が必要なのに、自分の病状をうまく説明できない、使っている薬の名前を憶えていないという人もたくさんいましたが、お薬手帳を持っていた人は、スムーズに適切な処置や薬の処方をしてもらえたようです。医療スタッフ側から見れば、できるだけ早くたくさんの人を診て適切な薬を出すために、お薬手帳が強い味方になったと言えます。

もっとも、お薬手帳を持っていない、お薬手帳も震災で失ったという人も少なくありませんでした。そういう人には新たなお薬手帳が渡され、以後の受診や健康相談に役立てられたようです。避難所を移ったり、仮設住宅に入ったりして、違う医療スタッフに対応してもらわなくてはならないような場面でも、お薬手帳が活躍しました。

震災を機に、いつもの病院や薬局でいつものように診てもらい、薬を出してもらえるというのが“当たり前”ではないという危機感を持つ人が増え、多くの人がお薬手帳を利用するようになりました。

災害時に活躍したお薬手帳

参考:東日本大震災時におけるお薬手帳の活用事例:日本薬剤師会:平成24年6月

監修:加藤哲太(日本くすり教育研究所代表)