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製剤技術【ドラッグデリバリーシステム】

くすりを「患部までしっかりお届け」する、
ドラッグデリバリーシステム。

薬を必要最低限の量で、必要な時間、必要な場所へ、狙い通りに届ける技術「ドラッグデリバリーシステム」の研究が活発に行われています。これにより、注射や薬を飲む回数を減らしたり、薬の副作用を少なくしたりすることが可能になってきました。また、がん治療をはじめとする、最先端治療の助けになることが期待されています。

1薬の効き目を長続きさせるために。
―ドラッグデリバリーシステムのこれまで

こんにちは! スコッピィだよ。君は薬をうっかり飲み忘れた経験があるかい? 内服薬(飲み薬)というのは、決められた通りに飲まないと十分な効果を発揮できないんだ。でも、一日に何回も飲まなければならないとなると、うっかり飲み忘れたり、面倒になって飲まなくなったりする可能性があるよね。

スコッピィ

一日に何回も飲まなければならないタイプの内服薬の多くは、すぐに効き目があらわれるものの、長時間効果を発揮し続けることができません。この課題を解決するために、製剤技術の分野での研究開発が進められてきました。

その成果の一つとして「徐放性製剤」があります。これは、今までは、薬の有効成分が体の中で一気に溶け出していたのを、少しずつ溶け出させるようにすることで、より長い時間効果を発揮し続けることができるようにしたものです。

たとえば、「スパンスールカプセル」もその一つ。同じ効果のある薬でも、早く溶け出す粒から、遅めに溶け出す粒までを一つのカプセルに収めているので、体の中で順番に溶け出し、長時間効果を持続させることができるようになりました。

スパンスールカプセル

スパンスールカプセル

スパンスールカプセル

登場!悪いところだけを狙い撃ちできる、リボゾーム製剤。
―ドラッグデリバリーシステムのいま

副作用って言葉を聞いたことがあるかい? 薬には、「期待する作用」と「期待しない作用」の「二面性」がある。このうち、期待しない作用のことを「副作用」というんだ。患者さんにとってやさしい薬とするために副作用を減らすことは、薬を創り出すうえでの大きな課題の一つなんだよ。

スコッピィ

物質の構成単位である「原子」レベルで物質を加工することができる「ナノテクノロジー」の進歩により、薬の副作用を大幅に減らすことのできる薬が登場しています。これは、細胞を取り囲む「細胞膜」と似た仕組みを持つ「リポソーム」という非常に小さなカプセルに薬を閉じ込める技術を用いたものです。

リポソーム

リポソーム

リポソーム

このリポソームは、メートルの10億分の1である「ナノ」という単位から「ミリ」の単位まで、自在に大きさを調整できます。つまり、作用してほしくないところには届かず、作用してほしいところだけに届く、絶妙な大きさにリポソームを調整することで、副作用を軽減することができるのです。

たとえば、従来のがんに効く薬は全身に運ばれるため、正常な組織にまで影響を及ぼし、強い副作用が生じていました。しかし、がんに効く薬をある種のリポ ソームに閉じ込めて血液に送り込むと、がん細胞が存在する組織に届けられ効果を発揮しますが、他の組織へは届けられにくいため、副作用を減らすことができ るのです。

このように、患部だけに狙いを定めて、薬の効果を発揮することのできるリポソームは、副作用を減らし、期待する効果を高めることができるので、今後、様々な病気に対する治療に役立っていくことでしょう。

がん細胞やウィルスまで退治する夢のくすり。
―ドラッグデリバリーシステムのこれから

今まで治すことができなかった病気に効く薬を、生物の持つ機能を効率的に活用する「バイオテクノロジー」により創り出そうとする研究が活発になっているんだよ。なかでも、「細胞」の中で大変重要な働きをしている「核酸」という物質を使った取り組みが注目されているんだ。

スコッピィ

核酸医薬品

核酸医薬品

核酸医薬品

核酸を構造の一部に持つ「核酸医薬品」が注目されています。それは、この薬が、病気の原因となっている遺伝子に直接働きかけることができるからです。たとえば、がん細胞にある変異した遺伝子に直接働きかけ、がん細胞を破壊したり、ウイルスの遺伝子に働きかけてウイルスを破壊したりすることができると期待されています。

とはいえ、課題もあります。たとえば、核酸は血液の中では短時間で分解されてしまいます。そのため、核酸を狙ったところまで確実に運ぶ「製剤技術」の開発が求められています。現在、いろいろな製剤技術により、核酸を運ぶ方法が開発されており、そのいくつかは、実用化が期待されています。

  • ドラッグデリバリーシステム
  • ドラッグデリバリーシステム

アテロコラーゲンを使用した核酸医療薬品技術
夢のくすりを目指して、その技術は最先端へ。

未来の薬の有力候補として注目されているのが、細胞内にある核酸という物質を利用した「核酸医薬品」です。核酸には、人間の設計図である「DNA」と、その情報を正しく機能させる役割を持つ「RNA」があります。

このRNAの機能に着目して、人工的に合成した「siRNA」という特別な RNAを用いることで、病気の原因となっている細胞やウイルスのRNAを直接攻撃することを目指した研究が進められています。

しかし、この siRNA を患部まで運ぶには、非常に高度な技術が求められます。大日本住友製薬では、人間の体にも多く含まれる、コラーゲンという体にやさしいタンパク質に着目し、コラーゲンの一種である「アテロコラーゲン」という物質に、 siRNA を結合させる技術を(株)高研と共同で開発し、実用化に向けた取り組みを行っています。

このアテロコラーゲンを使用した核酸医薬品は、生体内でも有効であることが明らかにされている数少ない技術です。現在、その有効性と安全性の高さから、いろいろな研究機関や核酸医薬品を開発する海外の企業などから高い評価を得ています。

ドラッグデリバリーシステムの技術で、治療効果を高めたり、副作用を減らしたりすることなどが分かったね。君が大人になったときには、今研究中の、様々なドラッグデリバリーシステムが実用化されているといいね。今よりもっと薬による治療が積極的に行われていることを期待したいな。

まとめ

スコッピィ

まとめ

「ドラッグデリバリーシステムの技術で、治療効果を高めたり、副作用を減らしたりすることなどが分かったね。君が大人になったときには、今研究中の、様々なドラッグデリバリーシステムが実用化されているといいね。今よりもっと薬による治療が積極的に行われていることを期待したいな。

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