ニュースリリース

2004年3月22日

糖尿病合併症治療剤AS-3201のフェーズⅡa 試験結果について

大日本製薬株式会社(本社:大阪市、社長:宮武健次郎)は、自社創製の糖尿病合併症治療剤AS-3201(開発番号)を米国およびカナダにおいて自社開発しておりますが、このほどフェーズⅡa 試験が終了し、3月17日にハワイで開催された第1回国際ポリオール パスウェイ会議(International Polyol Pathway Conference)において、その試験結果がトロント大学 医学部 Vera Bril教授より発表されましたので、概要をお知らせいたします。

フェーズⅡa 試験は、本剤の腓腹神経への移行性、並びに糖尿病性神経障害の発症・進行に関わっていると考えられているソルビトールやフルクトースに対する神経内での蓄積抑制作用を確認することを主目的としました。対象患者は、軽度から中等度の糖尿病性末梢神経障害患者101例であり、プラセボ(偽薬)群および実薬2群(1日1回 5mg投与群および20mg投与群)での12週間投与による二重盲検比較試験が行われました。
その結果、腓腹神経内のAS-3201濃度は用量依存的に増加し、腓腹神経細胞中のソルビトール濃度およびフルクトース濃度は用量依存的に減少しました。本剤のソルビトール蓄積抑制率およびフルクトース蓄積抑制率は5mg投与群でそれぞれ65%、44%、20mg投与群では84%、68%でした。また、20mg投与群での正中や腓腹の感覚神経伝導速度や正中の運動神経F波最小潜時では、投与前と比較し有意に改善していることも認められました。感覚検査スコアでは、用量依存的な改善が認められました。なお、肝臓や腎臓などに対して問題視すべき副作用は認められませんでした。
結論として、本剤はヒトの腓腹神経内への移行は良好で、かつ用量依存的に神経内のソルビトールやフルクトースの蓄積を阻害しており、糖尿病性神経障害の発症・進行を抑制する可能性が示唆されました。したがって、今後、臨床試験で本剤の糖尿病性神経障害に対する有用性について更に精査していくことになります。

AS-3201は、糖尿病合併症の一つである神経障害を適応症として開発中のアルドース還元酵素阻害剤(ARI)です。糖尿病性神経障害は糖尿病合併症のなかで最も発症頻度が高く、糖尿病患者さんのQOLに多大な影響を及ぼすことから早期の治療を必要とされていますが、世界市場においても治療薬が少ないためARIなどの新薬開発が望まれています。
当社は本剤を国際戦略製品と位置付け、早期上市を目指して開発を進めています。

以上

(ご参考)

糖尿病合併症とは
糖尿病は代表的な生活習慣病で、「糖尿病の可能性を否定できない人」も合わせると日本で1,620万人と推定されています(平成14年厚労省糖尿病実態調査(速報)より)。糖尿病を適切に治療しないで高血糖の状態が続くと糖尿病特有の合併症や動脈硬化症などの病気にかかりやすくなります。糖尿病合併症には糖尿病性神経障害、糖尿病性腎症、糖尿病性網膜症の三大合併症があり、これらの症状が進行するとQOL(生活の質)を著しく低下させ、生命に関わることもあります。

糖尿病性神経障害とは
糖尿病三大合併症の一つである神経障害は、合併症の中でも発症頻度が高く(36.7%:日臨内研究2000「糖尿病性神経障害に関する調査研究」より)、比較的早くに出てくる症状です。「手足のしびれ」など四肢の症状に始まり「立ちくらみ」「発汗異常」「筋肉の萎縮」など病状の進行に伴い全身に様々な症状が現れます。
糖尿病性神経障害の成因の一つに、ポリオール経路の活性亢進が考えられています。
ポリオール経路とは、体内に入ったブドウ糖がアルドース還元酵素の働きによりソルビトールという物質に代謝され、さらにソルビトール脱水素酵素によってフルクトース(果糖)へと代謝される経路を言います。

以上