創薬研究・製品開発研究

研究重点領域

当社は、アンメット・メディカル・ニーズの高い精神神経領域とがん領域を重点領域とし、革新的な医薬品の創製を目指しています。

精神神経領域では、治療満足度の低い症状の改善や、既存薬で充分な効果が得られていない患者さんの治療に焦点を当て、研究開発を引き続き推進します。

がん領域では、ボストン・バイオメディカル・インク(米国)、トレロ・ファーマシューティカルズ・インク(米国)とがん創薬研究所(日本)からなるグローバルな研究開発体制のもと、画期的な製品の継続的創出を目指しています。

さらに、iPS細胞などの最先端サイエンスを創薬に応用するとともに、治療薬のない疾患分野及び再生・細胞医薬分野において、世界初の治療薬の創出を目指しています。

大日本住友製薬の研究指向領域

大日本住友製薬の研究指向領域

基盤技術

創薬力向上のための技術強化や臨床開発段階における成功確度向上のための技術強化は、優れた医薬品の継続的な創出には欠くべからざるものです。
当社は、医薬品研究開発全般にわたり技術基盤と経験を保有していますが、研究初期段階では、スーパーコンピューターを活用したインシリコ創薬技術、iPS細胞等の最先端サイエンスを創薬や再生医療・細胞医薬に応用する取組を進めています。また、国内外の大学を含む研究機関等との研究提携も積極的に推進し、2016年度においては、独創的な抗がん剤の創出を目指して、国立大学法人京都大学との協働研究(DSKプロジェクト)の第2期を開始しました。さらに、国内の研究機関および研究者を対象に当社の創薬研究ニーズと合致するアイデアを募集する公募型オープンイノベーション活動「PRISM」を2015年度から実施し、2016年度には複数のアイデアについて共同研究契約を締結しました。

製品開発研究

優れた医薬品を継続的に開発し、社会に貢献するためには、創薬力の向上や臨床開発における技術強化に加えて、製品開発技術の強化が不可欠です。
当社では、創薬研究によって生み出された有望な医薬品候補化合物を、疾患に苦しんでいる患者さんの手元に、よりよい「お薬」として届けるための製品化研究に積極的に取り組んでいます。

製品開発研究

製品開発研究のプロセス

製品開発研究は、創薬の初期段階から市販後までの幅広い範囲に係わっています。

製品開発研究のプロセス

ユニバーサルデザイン⋯口腔内崩壊(Orally Disitegration, OD)錠技術

従来のOD錠技術は、口溶けは良いものの、錠剤が脆く調剤時に欠けるなどの欠点がありました。当社では、口溶けも強度も良好なOD錠としてSUITAB、PEATAB技術を開発し、さらに薬物の特徴にあわせて苦味の軽減や安定性の向上を施したSUITAB-NEX技術を開発しました。
これは、従来のOD錠が小児や高齢の患者さんや嚥下困難な患者さんなど、特定の患者さんに向けたバリアフリー製剤であったのに対し、これまでに錠剤を服用されていたあらゆる患者さんにとっても服薬しやすい「ユニバーサルデザイン」となる製剤です。これらの技術を利用することで、日本初となる高血圧症治療剤のOD錠や持続性抗アレルギー剤のOD錠を市場に送り出すことが出来ました。

ユニバーサルデザイン...口腔内崩壊(Orally Disitegration, OD)錠技術

核酸医薬 ドラッグデリバリーシステム(DDS)

siRNAをはじめとする核酸医薬は、優れた特異性と有効性から次世代の医薬品候補として期待されています。しかしながら、核酸医薬を目的の細胞に特異的に導入するDDS技術が未確立であることから、更なる技術革新が求められています。当社では、アテロコラーゲンを使用したDDS製剤技術の共同研究に取り組んでおり、核酸医薬を求めている患者さんに届けるための最先端の実用化研究を行っています。アテロコラーゲンDDSはin vivoで有効性が実証されている数少ない核酸DDS技術の一つであり、その有効性と安全性の高さとから、各種研究機関や海外の核酸医薬品開発企業から高い評価を得ています。

核酸医薬 ドラッグデリバリーシステム(DDS)

リピオドリゼーション製剤

当社では、「肝細胞癌におけるリピオドリゼーション」の適応を得た初めてのプラチナ製剤を開発しました。本製剤は、活性成分であるミリプラチン分子が有する脂溶性の高さと特殊な製剤設計によって、ヨード化ケシ油脂肪酸エチルエステルへの懸濁性を高めており、肝動脈内投与後は腫瘍局所に滞留し、長期間に渡って白金成分が徐放され、全身への曝露は少ないとの特長を有しています。

リピオドリゼーション製剤

イメージング分析技術の活用

良質な医薬品を提供するため、高度な分析技術の開発・導入に積極的に取り組んでいます。視覚的に確認することができるイメージング分析技術もその中の一つです。錠剤の表面の成分分布や内部構造を短時間かつ非破壊で分析できる近赤外イメージング装置やX線CTを活用し、品質の向上に努めています。

近赤外イメージング装置を用いた 錠剤表面の成分分布 X線CT装置を用いた 錠剤の内部構造の測定

医薬品の安定性予測技術

熱力学的な考察から安定性を予測するほか、分光学的情報や物理学的情報などをケモメトリクスに代表される非線形解析を用いて、医薬品の将来の安定性を予測することに挑戦しています。製品の品質向上につなげるため、一例として、近赤外線(NIR)分析装置を利用した安定性予測法を研究しています。

医薬品の安定性予測技術