HOME > ニュースリリース > 2016年 > 当社による米国バイオベンチャー企業Tolero Pharmaceuticals, Inc.の買収(子会社化)について

ニュースリリース

当社による米国バイオベンチャー企業Tolero Pharmaceuticals, Inc.の買収(子会社化)について

2016年12月21日

大日本住友製薬株式会社(本社:大阪市、社長:多田 正世)は、当社全額出資の米国持株会社を通じて、Tolero Pharmaceuticals, Inc.(本社:米国ユタ州リーハイ、CEO:David J. Bearss、以下「トレロ社」)を完全子会社化(以下「本買収」)することについて、本日トレロ社と合意しましたので、下記のとおりお知らせします。

合意内容に基づき、当社はトレロ社の株主に対し、本買収の対価として本買収完了時に200百万米ドル(約236億円)を支払うとともに、将来、トレロ社が開発中の化合物の進捗に応じた開発マイルストンとして最大430百万米ドル(約507億円)を支払う可能性があります。さらに、発売後は売上高に応じた販売マイルストンとして最大150百万米ドル(約177億円)を支払う可能性があります。

1. 本買収の理由

トレロ社は、がんおよび血液疾患領域における医薬品の研究開発に特化した米国のバイオベンチャー企業であり、キナーゼ阻害剤を中心とした優れた創薬力を有するとともに、血液がんを対象として開発中のサイクリン依存性キナーゼ(CDK)9阻害剤「alvocidib」(一般名)を含む以下の6化合物を有しています。

化合物名 作用機序 開発段階
alvocidib CDK9 阻害剤 フェーズ2試験終了
【急性骨髄性白血病(AML)】
フェーズ2試験実施中
【AML:バイオマーカー使用】
前臨床段階【骨髄異形成症候群
(MDS):バイオマーカー使用】
TP-0903 AXL受容体チロシンキナーゼ阻害剤 フェーズ1試験実施中【固形がん】
TP-1287 経口CDK9阻害剤 前臨床段階
TP-0184 ALK2阻害剤 前臨床段階

上記の表に記載の他、前臨床段階に2つの化合物があります。

alvocidibは、急性骨髄性白血病(AML)を対象とした無作為化フェーズ2試験においてPOC(Proof of Concept)を取得済みです。また、現在米国において同疾患におけるバイオマーカー陽性患者を対象としたフェーズ2試験を実施中であり、本適応について最速で2018年度の承認申請を目指しています。

当社の代表取締役社長である多田正世は、「当社の研究重点領域の一つであるがん領域はアンメット・メディカル・ニーズが極めて高い領域であり、患者さまやご家族に新たな治療選択肢をお届けすることは、研究開発型製薬企業の重要な使命であると考えています。トレロ社は、alvocidibを中心とする魅力的な開発化合物群を有しており、本買収によって、当社のがん領域におけるパイプラインをより一層強化できるとともに、主力製品である非定型抗精神病薬「ラツーダ」の独占販売期間満了後における当社グループの持続的成長に寄与することを期待しています。また、トレロ社の高い創薬力により、継続的に開発化合物を創出できることを期待しています。」と述べています。

2. 本買収の概要

本買収によりトレロ社は、当社全額出資の米国持株会社Dainippon Sumitomo Pharma America Holdings, Inc.(本社:米国マサチューセッツ州、以下「持株会社」)の完全子会社となり、米国ユタ州リーハイにおいて研究開発活動を継続する予定です。当社、トレロ社両社の取締役会はそれぞれ本買収を承認していますが、本買収の実行には米国独占禁止法に基づく条件の充足、法定手続き(トレロ社の株主による承認を含みます。)の完了等が必要となります。これらの手続き等を経て、2017年2月の本買収完了を目指します。なお、本買収については、当社の財務アドバイザーとして株式会社ラザード フレール、法務アドバイザーとしてジョーンズ・デイ法律事務所を起用しました。
なお、本買収は、当社が本買収のために持株会社の傘下に設立した特別目的会社を、トレロ社を存続会社とする形で同社に合併させることで実施されます。トレロ社の既存株主には、当該合併の対価として現金が支払われる予定です。

3. トレロ社の概要

(1) 名称 Tolero Pharmaceuticals, Inc.
(2) 所在地 2975 Executive Parkway Suite # 320 Lehi, UT 84043, U.S.
(3) 代表者の役職・氏名 CEO:David J. Bearss
(4) 事業内容 がんおよび血液疾患領域における医薬品の研究開発
(5) 資本金 866米ドル(2016年12月14日現在)
(6) 設立年月 2011年6月
(7) 大株主および持株比率 David J. Bearss (22.1%)、Orelot LLC (15.2%)、Alger Health Sciences Fund (8.9%)ほか(2016年12月14日現在)(注)
(8) 当社と当該会社との間の関係 資本関係 記載すべき事項はありません。
人的関係 記載すべき事項はありません。
取引関係 当社とトレロ社の間で、2016年11月に6百万米ドルを上限とする金銭消費貸借契約(当社が貸主)を締結しています。
(9) 当該会社の最近3年間の経営成績および財政状態
決算期(単位:米ドル) 2013年12月期 2014年12月期 2015年12月期
  純資産 △7,691千 △14,461千 △25,473千
  総資産 844千 13,172千 3,546千
  1株当たり純資産 △0.9 △1.7 △2.9
  売上高 142千 - -
  営業利益 △2,958千 △4,557千 △9,742千
  当期純利益 △4,473千 △6,328千 △9,340千
  1株当たり当期純利益 △0.5 △0.7 △1.1
  1株当たり配当金 - - -

(注)持株比率については、共同保有者がいる場合にはその保有株数を合算のうえ、代表的な株主を記載しています。

4. 本買収前後の所有株式の状況

(1)本買収前の所有株式数 -株
(議決権所有割合:-%)
(2)本買収後の所有株式数 100株(注1)
(議決権所有割合:100%)(予定)
(3)本買収の対価 最大780百万米ドル(約919億円)(注2)
【内訳:契約一時金200百万米ドル(約236億円)
開発・販売マイルストン最大580百万米ドル(約683億円)】

(注1)本買収は現金を対価とする合併の手法を採用しており、既存株主に対して合併対価として現金を交付する代わりにトレロ社の発行済株式は全て消滅するため、トレロ社の株式を取得しません。

(注2)本買収の対価には、アドバイザリー費用等(概算額:約7億円)は含んでいません。

5. 日程

(1)取締役会決議日
(大日本住友製薬株式会社)
2016年12月21日
(2)契約締結日 2016年12月21日
(3)本買収完了日 2017年2月(予定)(注)

(注)上記2.記載のとおり、本買収の実行には米国独占禁止法に基づく条件の充足、法定手続き(トレロ社の株主による承認を含みます。)の完了等が必要となります。

6. 業績に与える影響

本買収に伴う当社の2016年度以降の連結業績に与える影響は現在精査中であり、今後、開示すべき事項が生じた場合には速やかに開示します。

以上

(ご参考)

サイクリン依存性キナーゼ(CDK)9阻害剤 「alvocidib」について

がん関連遺伝子の転写制御に関与しているサイクリン依存性キナーゼ(CDK)ファミリーの一つであるCDK9を阻害することによって、抗アポトーシス遺伝子であるMCL-1を抑制し、抗腫瘍作用を示すことが期待されています。
alvocidibは低分子の注射剤であり、AMLの治療剤として米国食品医薬品局(FDA)および欧州医薬品庁(EMA)より希少疾病医薬品の指定を受けています。米国国立がん研究所(NCI)によって行われた予後不良因子を持つ未治療のAML患者を対象としたACM療法(alvocidib、シラタビンおよびミトキサントロン)と標準療法(シタラビンおよびダウノルビシン)の2群比較フェーズ2試験(J-1101/NCI-8972、Haematologica 2015;100(9))で、AML治療において重要な治療効果の指標である完全寛解率は、それぞれ70%、46%となり、ACM療法(alvocidib併用群)において有意差を示しました。一方、忍容性は、両群間で同等でした。
本剤は、トレロ社がSanofi S.A.(本社:フランス、以下「サノフィ社」)より全世界を対象とした開発・販売に関する独占的なライセンスを受けており、トレロ社はサノフィ社に販売に関するマイルストン・ロイヤリティを支払う予定です。
alvocidibのプロドラッグであるTP-1287(経口剤)の開発も進めています。

AXL受容体チロシンキナーゼ阻害剤 「TP-0903」について

抗がん剤への耐性やがんの転移などに関与するとされているキナーゼの一つであるAXLを阻害することによって、様々ながん種の細胞に対する抗腫瘍作用が期待されています。

ALK2阻害剤 「TP-0184」について

Bone Morphogenetic Protein(BMP)受容体ファミリーの一つであるactivin receptor-like kinase-2(ALK2)を阻害することによって、がんや自己免疫疾患などにより惹起される慢性炎症によって上昇する肝臓内のヘプシジンの発現を抑制し、慢性疾患に伴う貧血を改善することが期待されています。

以上

【将来事象に関する記載にかかる注意事項】

本プレスリリースに含まれる将来の予測に関する事項は、発表日現在において入手可能な情報による当社の仮定および判断に基づくものであり、既知または未知のリスクおよび不確実性が内在しています。したがって、実際の業績、開発見通し等は今後さまざまな要因によって大きく異なる結果となる可能性があることをご承知おき願います。また、本プレスリリースには医薬品(開発中のものを含む)に関する情報が含まれていますが、その内容は宣伝広告、医学的アドバイスを目的としているものではありません。

印刷はこちらから(PDF/210KB)

このページのトップへ